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✞ 9話 クラブ活動 ✞

2023/02/15
文字数:約759文字
 小学校も高学年になるとクラブ活動が始まる。
 最初は料理クラブに入った。友達に誘われたからだと思う。
 毎回、材料が必要な事が大変だった。
 食べられないものや嫌いなものを作る時は困ったけれど、それらは持ち帰って誰かに渡した。

 次は手芸クラブに入った。
 なぜか、部長になった……なり手がいなかったからだ。
 こちらは毎回、材料費が大変だった。
 作る事自体は楽しくて仕方なかった。

 最後に文芸クラブに入った。
 これは私が本当に入りたいと思って、ダメ元で書いてみたものだった。
 クラブに出来るだけの人数がいたので、クラブになったらしい。
 私とこたみちゃん、そして下級生3人という少人数クラブ。
 必然的に私が部長になった。

 こたみちゃんは私に合わせて書いたらしく、3回に1回は保健室で休んでいた。
「今日は体調が悪いって言ってきて」
 と言う言葉を、何度聞いただろうか……。
 何度も言うが、私はおしゃべりが苦手だ。
 こたみちゃんがお願いする『伝言』は、私にはとても難しい課題なのだと、こたみちゃんは分からない。

「自分で言って来たら?」
「体調が悪いのに、わざわざ行くなんて変じゃん」

 と言うようなやり取りを何度も繰り返して、クラブが始まる時間になってしまう。
 仕方なく私は先生に伝えに行く。
 こたみちゃんは文芸には興味がなかったのだろうと思う。
 そして、こたみちゃんが本当に保健室にいたかどうかを私は知らない。
 クラブから戻ってくると、こたみちゃんは教室にいた。
 ただのサボりという事だけはよく分かっていた。

 先生もやる気がないようで、「好きにやって」というスタンスだった。
 最初は書くための紙を用意していたけれども、それも『自分で用意して』というようになった。
 お互いに作品を見せ合うわけでもなく、好きに書いて一年のクラブ活動が終了した。




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