2020年 3月のアーカイブ
✞ ☆番外☆ 感電と増水 ✞

✞ ☆番外☆ 感電と増水 ✞

文字数:約1604文字  死にかけた経験はいくつかある。  以前書いた交通事故も、一歩間違えばあの世行きである。  これはそれ以外の危なかった話。  小学生高学年のある日。  父の手伝いで電流のチェックをしていた。  場所は父の作業場。なぜかシャッターが動かなくなったため点検を...

✞ ☆番外☆ 旅行と 父と 子供 ✞

✞ ☆番外☆ 旅行と 父と 子供 ✞

文字数:約623文字  小さなころはよく、家族旅行をした。  父の仕事のない真冬に、3泊程度どこかに行く。  私が旅行でどこに行くかを理解したのは、日本地図が頭に描ける様になってからだった。  毎年少しずつ遠くに行っている事を知った。そして、山口県で旅行は終わった。  九州に渡...

✞ ☆番外☆ 小さなニュース ✞

✞ ☆番外☆ 小さなニュース ✞

文字数:約551文字  友達と遊んだ帰り道。  友達の家を出て、5つの分かれ道に出た。  一つは来た道。  一つは全く知らない場所に行く道。  一つは学校への道。  一つは私の家への道。  一つはおばあちゃんの家に続く道。  選ぶのは、私の家への道が正しい。  正しいはずなのだ...

✞ ☆番外☆ 歌の話 ✞

✞ ☆番外☆ 歌の話 ✞

文字数:約642文字  新しいもの好きの父のせいで、家には早くからパソコンがあり、カラオケの機械もあった。  今のようにインターネットで 繋 ( つな ) がっているわけではなく、レコード盤のようなものを入れて決まった曲をかけるという物だった。  母が歌を好きだった事もあって...

✞ 16話 小学校最後 ✞

✞ 16話 小学校最後 ✞

文字数:約833文字  それは小学校最後の日。  私は、臆病なひねくれ者になっていた。  教室に行くと、黒板に絵が描かれて、いろんな飾りつけがされていた。  それまでの教室とは別のように見えた。  ぐるっと見回して、気がついた。  教室の後ろに、クラスメイト全員の似顔絵が飾っ...

✞ 15話 歌比べ ✞

✞ 15話 歌比べ ✞

文字数:約603文字  お 喋 ( しゃべ ) りは苦手だけれども、歌は好きだった。  けれど、それも小学生までだった。  小学最後の歌の練習の時、先生は「大きく口を開けて歌え」と言った。  私は真面目に大きく口を開けて、歌った。  そうしていると、先生が近くにやってきて私を前...

✞ 14話 雪かき ✞

✞ 14話 雪かき ✞

文字数:約649文字  少ない積雪ならば、先生たちが雪かきを済ませる。  けれど、雪国では大量の雪が降る。雪かきは上級生の仕事として回ってくる。  休憩時間や朝の時間など、なるべく授業ではない時間に雪かきを済ませることが多かった。  休憩時間に雪かきをするのだから、必然的に遊ぶ...

✞ 13話 真冬の道 ✞

✞ 13話 真冬の道 ✞

文字数:約821文字  雪の降る頃だった。  学校のベランダに出ていると、雪が舞い落ちてきた。  ベランダに背中を預けて、空を見上げる。  落ちてくる雪が、私を素通りして通り過ぎて行く。  まるで、自分の体が浮かんでいるような感覚に襲われた。  その中で、 『今、この瞬間にこ...

✞ 12話 登校時の小さな事故 ✞

✞ 12話 登校時の小さな事故 ✞

文字数:約912文字  登校班の副班長だったころ。  一つ年下の男の子が、側溝に落ちるという事件があった。  側溝と言っても、幅は1メートルほど深さも2メートルぐらいはあった。  水は流れていなかったが、落ちてただで済むような場所ではなかった。  幸い学校が近かったこともあって...

✞ 11話 虫歯の作文 ✞

✞ 11話 虫歯の作文 ✞

文字数:約912文字  毎年、虫歯の作品の受賞者は、全校集会でその作文を読む。  いつもは「早く終わらないかな」と思っている集会。  その年は「こんな風に書くと選ばれるんだ」と思いながら聞いていた。  そして、次の年は前年の作文内容を思い出しつつ、自分の作文に取り入れてみた。 ...

✞ 10話 道徳の時間 ✞

✞ 10話 道徳の時間 ✞

文字数:約1166文字  何度も言うが、私はお 喋 ( しゃべ ) りが苦手だ。  授業中に手を上げることもないし、意見を言うこともない。  そんな私が、一度だけ意見を言ってしまったのは、道徳の時間だった。  最初に物語を読んで、いくつかの意見が出てくる。  その中で2つ対立す...

✞ 9話 クラブ活動 ✞

✞ 9話 クラブ活動 ✞

文字数:約759文字  小学校も高学年になるとクラブ活動が始まる。  最初は料理クラブに入った。友達に誘われたからだと思う。  毎回、材料が必要な事が大変だった。  食べられないものや嫌いなものを作る時は困ったけれど、それらは持ち帰って誰かに渡した。  次は手芸クラブに入った...

✞ 8話 小さな隔たり ✞

✞ 8話 小さな隔たり ✞

文字数:約996文字  小学校も学年が上がると、男女を意識し始める。  異性だと机を離したり、フォークダンスで手を 繋 ( つな ) がないなんていうのは、よくある事。  けれども、それ以外の事が起こり始めた。 「臭い」  と、数人に言われ始めた。最初は気にしないようにした。...

✞ 7話 クラス替え ✞

✞ 7話 クラス替え ✞

文字数:約859 文字  学年が上がって再びクラス替えになった。  以前のように、いじめっ子がいないならどのクラスでも良かった。  今回はこたみちゃんや話せる子達とは、離れる事がなく同じクラスだった。  そして、初めて男の先生が担任になった。  その男の先生は、見た目もだが、教...

✞ 6話 男の子の疑問 ✞

✞ 6話 男の子の疑問 ✞

文字数:約1139文字  こたみちゃんは誰とでも仲良くなる。それは、男の子でも例外ではない。  その男の子は、学級委員の真面目な子だった。  けれども、こたみちゃんとはふざけ合う。仕掛けるのは大抵こたみちゃん。  私はそれを黙っていつも見ていた。 「あいつって、ほんとジャガイ...

✞ 5話 無視と嫌い ✞

✞ 5話 無視と嫌い ✞

文字数:約1049文字  私はこたみちゃんを通して、いろんな子達と話すようになった。  海ちゃんと風ちゃんは、お勉強もスポーツもできるクラスの人気者だった。  そこになぜか、私が混ざってしまった。  どこをどうして、海ちゃんと風ちゃんと私という組み合わせができたのか、いまでも謎...

✞ 4話 いとこの家の離婚 ✞

✞ 4話 いとこの家の離婚 ✞

文字数:約646文字  父の兄……私にとっての 伯父 ( おじ ) 夫婦が離婚した。  それは唐突な話だった。  断片的な話を繋ぎ合わせると、 伯母 ( おば ) さんが家を出て行ったという事だった。  まだ小学生の子供3人を残して、 伯母 ( おば ) さんは行ってしまった。...

✞ 3話 牛乳嫌い促進強化 ✞

✞ 3話 牛乳嫌い促進強化 ✞

文字数:約680文字  何度も書くが、私は牛乳が嫌いだ。  給食の牛乳は飲まずに持ち帰っていた。  それは学年が上がっても同じだった。  担任はそれについて特に何も言わなかった。  やがて、担任が産休に入って、代理の先生が来た。  この先生は、私が牛乳を飲めない事を問題にした...

✞ 2話 魔女っ子ごっこ ✞

✞ 2話 魔女っ子ごっこ ✞

文字数:約728文字  それは新学期が始まって、一段落した頃。  変な緊張感も戸惑いも消え去って、クラスに慣れきってしまっていた。  そうなると、ふざけた事をする子も出てくる。  掃除の時間だった。  一人の男子が「魔女っ子○○○」と言いながら、 箒 ( ほうき ) にまたが...

✞ 1話 お友達作り ✞

✞ 1話 お友達作り ✞

文字数:約963 文字  進級した。お嬢様は居なくなったが、同時にお友達もキレイに消えた。   従姉妹 ( スズメちゃん ) とはクラスが別になった。近所の子達とも別になった。  積極的に話しかけるタイプではない私は、一人で行動することが増えた。  やがて、こたみちゃんと言う友...

✞ ☆番外☆ もう一つの死とプレゼント ✞

✞ ☆番外☆ もう一つの死とプレゼント ✞

文字数:約1350文字    ☆番外☆ もう一つの死  クラスメイトが亡くなってしばらくした頃。  いとこの祖母が亡くなった。   伯母 ( 母の姉 ) の配偶者の母親という、ちょっと遠い関係だった。   従姉妹 ( ホタルちゃん ) たちとはよく会っていたけれども、そのお婆さ...

✞ ☆番外☆ 動物と左右盲 ✞

✞ ☆番外☆ 動物と左右盲 ✞

文字数:約1169文字    ☆番外☆ 動物  従姉妹の家で飼っていた犬が、子犬を産んだ。  父がそれを 貰 ( もら ) ってきた。  ある日、父が犬の散歩に私も引っ張り出した。  私は動物全般が苦手だ。  子犬とはいえ、犬が怖くて走ってしまった。子犬は喜んでついてくる。 ...

✞ 12話 お嬢様の文集 ✞

✞ 12話 お嬢様の文集 ✞

文字数:約901文字  2学年の最後に文集を作る事になった。  皆がそれぞれに好きな事を書いた。  最後の日が近づくと、お嬢様の引っ越しが担任から発表された。  誰もがホッとしたと思う。  次の学年はクラス替えがあるとはいえ、この学校にお嬢様がいる限り同じクラスになる可能性は...

✞ 11話 鬼ごっこと賞 ✞

✞ 11話 鬼ごっこと賞 ✞

文字数:約998字  少し長めの休み時間は校庭に出ることが決まりだった。  校庭に出たからと言って、何かをするわけではない。  かと言って、壁の花になっていようものなら「もっと遊んできなさい」と先生に追い立てられる。  休み時間なのに、休んでいてはいけないその時間を持て余して...

✞ 10話 クラスメイトの死 ✞

✞ 10話 クラスメイトの死 ✞

文字数:約717文字  クラスメイトが死んだのは、連休明けだったと思う。  その日、先生が暗い顔で教室に入ってきた。  いつもは明るい顔……とは言えないが、その日はいつも以上に、重苦しい空気をまとっていた。  いつものようにうるさい生徒を怒鳴りつけて、何とか静かになった教室の中...

✞ 9話 集団登校中の事故 ✞

文字数:約1205文字  学校までの道のりは長かった。  まずは私の家の前で、一旦数人が集合。その後に、また別の家の前で数人が集合するのを待っていた。  家の前ならば、呼びに来てくれるまで家に居ることも出来た。  けれども、もう一つの集合場所では、待つしかない。  しばらくは大...

✞ 8話 折り紙と牛乳 ✞

✞ 8話 折り紙と牛乳 ✞

文字数:約1592文字  お嬢様のいじめは大抵、『物』に向かうことが多かった。  物を欲しがって、取ったり壊したり。取ったり壊したりは筆箱や鉛筆消しゴムなどが多かった。  隠したりごみ箱に捨てられたりするのは、教科書やノートだ。  暴言は当たり前。「チビ」「グズ」「のろま」「s...

✞ 7話 お友達 ✞

✞ 7話 お友達 ✞

文字数:約1830文字  いじめから身を守るために出来ることは、三つ。  一つは、お嬢様に気に入られないようにすること。  お嬢様が気に入るのは、大人しくて優しそうな子とお 喋 ( しゃべ ) りが得意で面白い子。  スズメちゃんは後者だった。  二つめは、目立たないようにす...

✞ 6話 いじめあいクラス ✞

✞ 6話 いじめあいクラス ✞

文字数:約976文字  日々、誰かがいじめのターゲットになる中で、スズメちゃんがお嬢様の取り巻きになった。  社交的なスズメちゃんは、お嬢様に気に入られた。  取り巻きの半分は面白半分、半分は嫌々という感じだ。  断るといじめのターゲットになるのだから、大人しくお嬢様の傍に居る方...

✞ 5話 学年主任が担任に ✞

✞ 5話 学年主任が担任に ✞

文字数:約726文字  授業にならない日々が続き、おそらく学年でも話題になるほどの問題となっていたと思う。  ある日、朝から学年主任がやってきた。 「しばらく、担任を交代します」  と大ベテランの先生は言った。  そして本当にその日一日、大ベテラン先生が担任をした。  男子たちが...

✞ 4話 頼りない先生と怒鳴る先生 ✞

✞ 4話 頼りない先生と怒鳴る先生 ✞

文字数:約832文字  3組担任の新卒女先生は完全に、甘く見られていた。  生徒がうるさくて授業にならない事の方が多くなった。  やがて、隣のクラスの男先生が怒鳴りこんでくるようになった。 「うるさい!!」  その一言でシーンと教室が静まり返る。 「お前らのクラスだけだぞ。こんな...