文字数:約551文字
友達と遊んだ帰り道。
友達の家を出て、5つの分かれ道に出た。
一つは来た道。
一つは全く知らない場所に行く道。
一つは学校への道。
一つは私の家への道。
一つはおばあちゃんの家に続く道。
選ぶのは、私の家への道が正しい。
正しいはずなのだけれども、私は迷ってしまった。
学校への道と私の家へと向かう道との間で迷った。
『ちょっと遠回りしたいな』
と思ってしまったのだ。
時間は夕刻。日はすでに傾いて、暗くなろうとしている。
そんな時間に遠回りをするなんて、おかしな事だ。
そう思っているのだけれども、遠回りをしてでも学校への道を選びたいと思った。
5分以上じっくりと迷っていたような気がする。
迷った結果、私は私の家への道を選んだ。
遠回りはしなかった。
次の日、小さなニュースが目に留まった。
昨日、立ち止まった道の先で、自殺者が出たというニュース。
死んだのはお爺 さんと小学生の子供。
お爺 さんが子供を殺して、自らは木に紐 をかけて首をくくったのだという。
選ばなかった学校への道の先では、お爺 さんが死んでいた。
そう思うと悲しくなった。
お爺 さんが首をくくった木は、切り倒されてなくなった。
木のなくなった場所を見つめて、何とも言えない気分になった。
そして、しばらくその道は通らないようにした。
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