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✞ 2話 お嬢様の教室 ✞

2022/12/26
文字数:約1074文字
 学校が始まった頃、私は小学校と言う場所が嫌いでも好きでもなかった。
 クラスメイトに従姉妹のスズメちゃんがいて、私はスズメちゃんを通して近所の子達と関わるようになった。
 同じ保育園だった「みーちゃん」や「しゅんちゃん」は、そのうちに話すようになったし、何度か家に遊びに行くようにもなった。
 他にも町で唯一の幼稚園から来た「りりちゃん」や「くくちゃん」とも、遊ぶようになった。
 幼稚園から来た子たちは少し毛色が違っていた。
 保育園から来た私たちが遊びまわっているようなタイプなのに比べて、幼稚園から来た子達は優等生タイプだった。
 子供ながらに世界が違う感じがして、近寄りがたかった。

 クラスには、一人だけ全く別の場所からやってきた女の子がいた。
 出席番号順の自己紹介で、好きなものだとか、勉強を頑張りたいとか、そんな事を話す子達が多い中。
 彼女は「親の都合で引っ越してきて、ここに来た」というような事を言っていた。
 その時は特に何かを思った記憶はない。

 やがて、彼女の口癖が
「パパは社長なんだから!!」
 というような事だと、理解した。
 最初は「そうなんだ」「すごいね」と、周囲は言っていた。
 クルクルの巻き毛に茶髪のかわいい女の子は、パパが社長ではなくても、その見た目だけで目立っていたと思う。
 染めているわけではなくて、地毛で茶色っぽかった。

 そのお嬢様はやがて、かわいいだけではなくなっていった。

「パパに言いつけてやる」
 お嬢様は機嫌が悪くなると、ドラマのセリフみたいな事を言うようになった。
 やがて、言葉だけではなく手が出てきた。

 それがいつから、どんな風に始まったのか覚えていない。
 いつも繰り返されるお嬢様の自慢話。
 そして、いつの間にか集まっている取り巻き達。
 取り巻きに、少し体格の小さい女の子が混ざっていた。

 気が付くと、小さな女の子はお嬢様のいじめのターゲットにされていた。
 最初は「やめなよ」と言う子もいた。
 特に優等生タイプの幼稚園から来た子達がそんなことを言っていた気がする。
 けれど、「やめなよ」といった子達はお嬢様の反撃にあって、何も言わなくなっていた。

 やがてお嬢様のいじめに男の子達が面白がって、参加した。
 そうすると、お嬢様自らが手を出す必要はない。男の子達に命令すれば済むのだから。
 モノが壊されたり、隠されたりも日常茶飯事になった。
 いじめの対象はやがて、その子だけではなくて他の子にも波及していった。

 学校生活は、最初の頃とは、変わったものになってしまっていた。
 休み時間は、誰かがいじめられる時間に変わった。




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