文字数:約1169文字
☆番外☆ 動物
従姉妹の家で飼っていた犬が、子犬を産んだ。
父がそれを貰 ってきた。
ある日、父が犬の散歩に私も引っ張り出した。
私は動物全般が苦手だ。
子犬とはいえ、犬が怖くて走ってしまった。子犬は喜んでついてくる。
父はそれを見て「走るから遊んでくれると思っているんだ」と笑っている。
私は転んだ。それでも、父は笑っているだけだった。
私は犬が大嫌いになった。
その子犬は、車でひいてしまって死んでしまった。
まだ犬を飼う道具が何もなかったので、もちろん鎖も首輪もなかった。
子犬は、車を恐れずに出てきてひかれたのだ。
父はすぐに次の子犬をまた貰 ってきた。次はすぐに繋 ぐことになった。
その頃はまだ、家にはペットは少なかった。
犬と金魚と鳥(文鳥だったかな?)だけだった。
それが、リスに鶏、ウズラにウサギ……あれよあれよと動物園のように増えた。
理由は母が動物好きで、『飼ってみたい』とずっと思っていたからだった。
飼ってみた事で、『飼うんじゃなかった』と思うこともあったようだけれども、満足してしまったのか、今では家にはペットが一つもいなくなった。
☆番外☆ 左右盲
左右の認識が遅い。
遅いどころか、焦ると全く分からなくなる。
小学生の時、自転車の安全教室で、『街中を自転車で走る』という実習があった。
実際に走って安全を確かめるというものだった。
前の人に続いて走り出す。前の人について行こうという意識しかなかった。
曲がり角などには人が立っていて、「右」「左」の指示をする。
その交差点で、前の人が転んでしまった。
私も止まった。追い越したら、どこへ行けばいいのか分からない。
けれど、立っていた人が「次の人、先に○に行きなさい」と指示を出してきた。
……パニックである。
右と左が理解できないから、前の人についていく事にしていたのに、『先に行け』と唐突にいわれた。
しかも、行き先の指示まで出ている。
出ているが、それが「右」か「左」なのか聞いていなかった。
再び、「早くして、ミギだ」と指示が飛ぶ。
やっと『音』が入ってきたが、それがどちらを指すのかがパニックになった頭では理解できなかった。
わからなかった私は、適当にハンドルを曲げた。
「違う!右も分からないのか」と声が飛んできた。
分からないから、視力検査は直前まで他人の検査の様子を見て、「こっちがミギ」と確認している。
運転免許を取る時も、何度も心の中で確認していた。
それでも、方向指示器を間違える。……ハンドルは間違えなかった。
更新時の視力検査も毎回ドキドキで、最初は時間がかかってしまう。
最近それを、左右盲というのだと知った。
病気ではないけれども、『左右を混乱したまま覚えている状態』らしい。
そんなわけで、私も混乱したまま覚えているようだ。
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