文字数:約859文字
学年が上がって再びクラス替えになった。
以前のように、いじめっ子がいないならどのクラスでも良かった。
今回はこたみちゃんや話せる子達とは、離れる事がなく同じクラスだった。
そして、初めて男の先生が担任になった。
その男の先生は、見た目もだが、教え方もうまいという事で保護者からの評判も良かった。
それまでやらなかった事を、その先生の教室になってやるようになった。
クラスメイトの『いいところ』を毎月書くようになった。
……これはこれで、面倒で書く事がなくなる。
良い先生と言われていたけれども、全てが良かったわけでもない。
毎朝の小テストは2回(2日間続けてやる)あって、2回目(再テスト)は満点でないと罰があった。
デコピンだったり、筋トレだったり、漢字練習の宿題追加だったりという罰が与えられる。
忘れ物も、そんな罰が与えられるようになった。
そして、罰を受けるのは大抵、同じ子達だった。
できない子達は罰を受ける。できる子達は罰が嫌だからする。
今になって思うと、ただの恐怖による支配でしかない。
けれど、当時はそれが保護者には『良い子になる』と見えて『良い先生』になったのだと思う。
子供に教師役をさせてみるというのもあった。
これはやりたい人だけだったけれども、やってみた子は大変さが分かったという。
他の子も『準備の大変さの話』が聞きやすくて、これはこれで良かったのだと思う。
……ただ、始まりがクラスメイトの「先生なんて楽じゃん」と言う言葉に、先生が怒った結果だったけれども。
他にもいじめの兆候があれば、即座に授業がつぶれて話し合いの場が設けられた。
良くも悪くも『生徒のための先生』を頑張っている先生だった。
中学卒業後に、この先生から『当時の思い出は?』『当時の事で役に立っていることは?』というようなアンケートが送られてきた。
それは、『教育に生かすためのアンケート』という事がすぐにわかった。
そんなアンケートを送ってきた先生は後にも先にもこの先生だけだった。
それだけ教育熱心な先生だった。
<<前 目次 次>>