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少し長めの休み時間は校庭に出ることが決まりだった。
校庭に出たからと言って、何かをするわけではない。
かと言って、壁の花になっていようものなら「もっと遊んできなさい」と先生に追い立てられる。
休み時間なのに、休んでいてはいけないその時間を持て余していた。
他の子達はさっさと校庭に出て遊んでいる。
自分から声をかけることが出来ない私は、先生の動向を見ながら校庭を適当に動き回っていた。
やがて、一人のクラスメイトが声をかけてきた。
「鬼ごっこしよう」
二人きりの鬼ごっこをした。
私は運動音痴で足が遅い。すぐに捕まる。そして、クラスメイトの事はなかなか捕まえられない。
ほぼ私が鬼になる鬼ごっこだった。
しばらくは楽しく遊んでいたのだけれども……『鬼』ばかりなのはさすがに嫌だ。
数日たつと私は「もう嫌」と、相手に鬼ごっこの拒否を伝えた。
そうすると、相手は私のはちまきを取って「貰 った」と走り出す。
はちまきを人質に鬼ごっこが繰り返された。
そしてさらに1週間ほど過ぎた頃、それを見ていた別のクラスメイトが「やめなよ」と注意をして来た。
それ以降、鬼ごっこに誘われる事はなくなった。
正直、なぜ彼女が私と鬼ごっこをしていたのかよく分かない。
彼女は成績優秀な真面目タイプ。
友達なら他にもいたと思うのだけれども、なぜ私だったのか……考えても分からなかった。
ついでに、別に彼女は私をいじめていたわけではない。
はちまきは必ず休憩時間が終わると返ってきたし、それ以外は何の接触もなかった。
***
図工の時間に絵を描いた。
たぶん、昔話をイメージして絵を描けという事だったと思う。
私は、『かさこじぞう』の絵を描いた。
単に面白い絵にしたいためだけに、障子に目を描いた。
家の向こうから地蔵がやってくるのを、家の中の爺様と婆様が覗 いている絵だったと思う。
その絵が、賞を取った。
何の賞だったか忘れたが、クラスに数人がとるような賞で珍しいものではなかった。
ただ、いつもならその賞はいつものメンバーに送られるものだったと思う。
それが、その時に限って、『』とは違う子達が入っていた。
後からそれが、「他の子にも、賞をあげようという事になったんだって」という、うわさが入ってきた。
だから、いつものメンバーではないのだと。
私は、そのうわさに納得してしまった。
真偽は分からない。
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