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クラスメイトが死んだのは、連休明けだったと思う。
その日、先生が暗い顔で教室に入ってきた。
いつもは明るい顔……とは言えないが、その日はいつも以上に、重苦しい空気をまとっていた。
いつものようにうるさい生徒を怒鳴りつけて、何とか静かになった教室の中。
「今日は大切な話があります。××君が亡くなりました」
クラス中がシンとなって、その子の机を見た。
「お葬式は……」
先生の話はほとんど頭に入って来ない。
昨日までクラスに居た子が、今日は居ない。いや。この先もずっといない。
親しかったわけではないけれども、保育園から一緒だった子だ。
何とも言えない気持ちがクラス中に漂っていた一日だった。
お葬式後には、遺族からクラスメイトにハンカチが配られた。
けれど、そんな空気もすぐに消え去った。
先生は死んでしまった子の机に花を置いた。
それが、『死者に対するもの』ということをクラス中が理解した。
次の日には、『机に花瓶を置く』という嫌がらせが起きた。
置かれた子はもちろん、気分は良くない。
クラスメイトの死はあっさりと『いじめの一つ』へと変わってしまった。
花瓶を置かれた子は黙って片づける。
机が濡 れていたら拭いて、それでおしまい。
お嬢様がその様子を笑ってみているだけで、それ以上何もない事を知っているから。
時には「来ないから、死んじゃったのかと思った」なんて、風邪をひいて休んだ子の机に置かれる事もあった。
風邪を治して登校すると、花瓶が机にある。
そうやって定番の「いじめ」の一つとなった。
(クラスメイトが死んでしまった原因は、いじめとは関係のない事故です)
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