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✞ 1話 お友達作り ✞

2023/02/15
文字数:約963文字
 進級した。お嬢様は居なくなったが、同時にお友達もキレイに消えた。
 従姉妹スズメちゃんとはクラスが別になった。近所の子達とも別になった。
 積極的に話しかけるタイプではない私は、一人で行動することが増えた。
 やがて、こたみちゃんと言う友達が出来た。
 正直、どうやって友達になったのか全く覚えていない。
 おそらく、こたみちゃんから何か話しかけてきた……と思うのだけれども、覚えていない。
 一人が好きだった私は、休憩時間に話しかけられても何もしなかった。
 運動しなくてはいけない休憩時間と、移動教室の前の休憩時間以外は教科書を机に置いたまま動かなかった。

 そのうち、それがつまらなくなって、ノートの隅に絵を描いて過ごすようになった。
 それにこたみちゃんも気が付くと入ってきていた。
 時々、「こんなの描けたよ」と言って、イラストを見せ合った。
 そんな感じで、何かと二人で行動するようになった。
 そのうち、こたみちゃんを通して話せる人が少しずつ増えて行った。

 話せる人が増えると、ノートの隅に絵を描く事が減った。
 なわとびや馬跳びなどの遊びでみんなと遊ぶようになった。
 もちろん、波はあって絵を描く事が増える時期もあった。
 誰も無理に遊びに誘う事はしなかった。
 私は私の気分で、遊んだり絵を描いたりして休憩時間を過ごすようになっていた。
 それはこたみちゃんも同じで、私と一緒に絵を描いていることもあれば、他の誰かと遊んでいることもあった。
 休憩時間の選択肢はお絵かきだけではなくなった。


 同じころ、クラスメイトとは別に、文通相手が出来た。
 交流校で、手紙のやり取りをしたのがきっかけだった。
 一通で終わると思っていたそれは、『文通しませんか?』の相手からの言葉で、文通相手になった。
 うれしくなった私は、2・3日おきに手紙を書いていた。
 今になって思うと、何をそんなに書く事があったのかと思うけれども、当時は相手に手紙を書く事が楽しくて仕方なかったのだ。
 手紙が来ると、すぐに書いていた。相手への感想半分。自分に起きたこと半分。
 それが、小学校を卒業するぐらいまで続いた。
 その後は徐々に間が開いていった。
 一週間に一度になり、ひと月に一度になり、三カ月に一度……。高校を卒業するころには半年に一度ぐらいになっていた。
 それは二十歳ぐらいまで続いた。




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