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✞ 2話 新しい友達と今までの友達 ✞

2023/02/15
文字数:約1680文字
 それまで一緒だったこたみちゃんとは、隣のクラスになった。
 その他の友達とは全く別のクラスになってしまって、接点がなくなった。
 そもそも校舎の造りが複雑なので、必然的に階段を挟んだ隣の教室以外とは行き来が難しい。
 下手をすると教室の場所さえも分からないという有り様で、誰がどのクラスになったのかも分からなかった。
 2階には教室はないので、3・4階の交流ぐらいだった。
 これも4階が1年生・3階が2年生と言うような別の学年となると……3階を通る事が恐怖でしかない。
 別の学年もまた、異世界だった……。
 1階に視聴覚室があった。そこでの授業は穴倉気分になった。
 1階部分は道路よりも低く、外に見えるのは道路に面している石壁だったからだ。

 さて、そんなわけで中学生活は再び「友達が居ない状態」から始まった。
 友達が居ないとはいえ、クラスメイトの6割程度は顔と名前が一致した。なぜなら、同じ小学校の人がほとんどだったからだ。
 隣のクラスだったけれど、最初はこたみちゃんとの接点はあまりなかった。


 そして、もう一人……ちょっと変わった友達が出来ていた。
 それは私のクラスメイトで、こたみちゃんと同じ部活に入っていた「コヤマさん」だった。
 彼女は入学した時から、大きな体で目立っていた。
 目立ってはいたけれども、あまり彼女に声をかける人はいなかった。
 いたとしてもそれは、「からかい目的」がほとんどだった。
 そんな感じなので彼女は、とてもひねくくれていた。

 最初はただ『大きな人』という印象だったが、徐々に彼女の捻くれた部分が大きく見え始めた。
 一緒に居ても「私が嫌いなんでしょ?デブだと思っているんでしょ」と言うようになった。
 正直に言うと、『太っている』と思わない方が無理だった。でも、それを口にした事はない。
 彼女自身がそれを気にしているのが分かっていたし、わざわざ彼女を傷つける事を言う必要もないと思った。
 彼女の言葉が環境によって作られた『ひねくれた感情』だと分かっていても、気持ちのいいものではなかった。

 やがて、彼女の傍にいる事がつらくなった。
 悪い人ではないけれども、いいと思える部分も見つけられない。
 彼女に対して、優越感を持ってしまう自分もいる。それも、嫌だった。
 結局、クラスで余るのは私と彼女なのだからペアになるしかない……みたいな時もあった。
 同じクラスだった1・2年の間は悶々もんもんとしながら関わっていた。


 クラス以外では、帰り道が一緒だったミホちゃんと再び関わるようになった。
 ちょっと我儘わがままで人を振り回すミホちゃんに、再び私は振り回されていた。
 ある日、「友達の家に誘われたの。でも、不安だから一緒に来て」と言う。
 その友達は、電車に乗らなければ行けない場所の子だった。とはいえ、私は呼ばれていない。
 電車にあまり乗った事が無いので、『どうやって電車に乗ればいいのか』もよく分かっていなかった。

「無理だよ。いきなり行ったら、その子にも迷惑だって」と何度も言ったのだが、
「大丈夫。私が無理やり頼んだ事にするから」と言う。
 するからも何も、無理やり頼んでいるのである。
 何度も押し問答した末、私は負けた。
 お友達は明らかに困って迷惑そうな顔をしていた。……当然だと思う。
 私も居たたまれなかったが、その時はそのまま三人で遊んだ。


 小学校の友達は消え去って、新しい友達と言えるのはコヤマさんだけだった。
 でも、私はコヤマさんと一緒にいたいと思ったことはない。

 ミホちゃんも、「なんで、あんな子と関わっているの?」と聞いてきた。
 ……言いたいことは、すごくよく分かった。
 ミホちゃんが私に近づいてくるのは、コヤマさんが居ない帰り道がほとんどだったからだ。
 身体が大きくて、ひねくれた感情を持っていて、怒りっぽいコヤマさんは人を遠ざけていた。
 私も自分がなぜそうなっているのかと言えば……こたみちゃんがいなければコヤマさんとは関わっていないだろうなと思っていた。
 が、関わってしまったのだからしょうがない。
 時間が過ぎて、クラスが変わるのを期待するしかなかった。




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