文字数:約722文字
再び、えすえむ話が続いて、私はとうとう「見捨てて」と伝えた。
それはとても明るい感じで、怒りも悲壮感もない話から始まった。
守り人:タナさが「して欲しい」と思う事を云えば良い。
タナトス:見捨てて♪
守り人:そうされて、耐えられる?
タナトス:今だったらね♪ 傷も少なく浅くてすむもん。
この時の『傷』はもちろん、自傷行為の傷の事だった。
この時期は、守り人さんと話し終わると、疲れと嫌悪感から自傷をするようになっていた。
タナトス:……む~~。見捨ててくれないの?
守り人:見捨てるのと放置するのとは、全く真逆の行為だしね…
放置はするだろうけど、見捨てるのは、どうだろ…?
タナトス:む~~。ひどい。
守り人:見捨てる…って、どれくらい大きなコトか、分かってるのかな?
タナトス:知らない。
私の怒りの全くみえないこの会話は、『幼子をなだめる大人』の様相になり、数日続いた。
私の正気は、残っているのかどうかさえ私自身にもわからなかった。
別の場所で書き記す『怒りと苦しみの日記 』が、私の正気を支えてくれた。
そこには、こんな子供じみた言葉は一つもない。
欲しいのは【たった一人の言葉】
それを守り人さんが、私に与えてくれることはない覚悟で、関係を続けた。
そのはずだったのに、私は依存の関係を恋愛関係と錯覚し始めた。
苦しいのは『タナさ』だけを求められる事で、自傷する私もノアも求められていない事。
そう考えた時、私は自分の考えに吐き気を感じた。
過度の依存と不安。
子どものような言葉を吐き続ける『タナさ』と、そうではない『ノアの日記 』
どちらも本当で、どちらもウソ。
私自身が、『タナさ』と『ノア』の間で引き裂かれていった。
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