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✞ 5話 見捨てて ✞

2023/06/01
文字数:約722文字
 再び、えすえむ話が続いて、私はとうとう「見捨てて」と伝えた。
 それはとても明るい感じで、怒りも悲壮感もない話から始まった。


 守り人:タナさが「して欲しい」と思う事を云えば良い。

 タナトス:見捨てて♪

 守り人:そうされて、耐えられる?

 タナトス:今だったらね♪ 傷も少なく浅くてすむもん。


 この時の『傷』はもちろん、自傷行為の傷の事だった。
 この時期は、守り人さんと話し終わると、疲れと嫌悪感から自傷をするようになっていた。


 タナトス:……む~~。見捨ててくれないの?

 守り人:見捨てるのと放置するのとは、全く真逆の行為だしね…
     放置はするだろうけど、見捨てるのは、どうだろ…?

 タナトス:む~~。ひどい。

 守り人:見捨てる…って、どれくらい大きなコトか、分かってるのかな?

 タナトス:知らない。


 私の怒りの全くみえないこの会話は、『幼子をなだめる大人』の様相になり、数日続いた。


 私の正気は、残っているのかどうかさえ私自身にもわからなかった。
 別の場所で書き記す『怒りと苦しみの日記ブログ』が、私の正気を支えてくれた。
 そこには、こんな子供じみた言葉は一つもない。

 欲しいのは【たった一人の言葉】

 それを守り人さんが、私に与えてくれることはない覚悟で、関係を続けた。
 そのはずだったのに、私は依存の関係を恋愛関係と錯覚し始めた。
 苦しいのは『タナさ』だけを求められる事で、自傷する私もノアも求められていない事。

 そう考えた時、私は自分の考えに吐き気を感じた。
 過度の依存と不安。
 子どものような言葉を吐き続ける『タナさ』と、そうではない『ノアの日記ブログ
 どちらも本当で、どちらもウソ。

 私自身が、『タナさ』と『ノア』の間で引き裂かれていった。




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