文字数:約807文字
あげはちゃんに最後に会ったのは、高校生の頃だった。数年ぶりに会ったあげはちゃんは、少しだけ落ち着いていた。
夜遊びをして、金髪ピアスだったあげはちゃんは、夜遊びをしない金髪になっていた。
久しぶりのあげはちゃんに、どう接していいのかわからなかった。
季節が初夏に変わったころ、猫の散歩中に猫に噛 まれた。
臆病な猫だったので、私の足を何かと勘違いして噛 んだのだろうと思う。
思いっきり噛 まれて、足が血まみれになったので病院へ行った。
病院では「ネコに噛 まれたの??」と何度か確認された。
処置は簡単で、消毒の後、包帯を数巻きされただけだった。
抗生物質の薬を貰 って帰った。
が、出血は止まらなかった。
夜には包帯が血まみれになり、大惨事になった。
このまま寝ると、布団まで事件の跡になってしまう。
父が「ラップを巻けばいい」というので、ラップを巻いて寝た。
包帯が数巻きだったのは、猫だと大したことがないと思われたからだろう。
傷口は「猫の牙四つ」だったが、太い血管にヒットしていたので血は止まらなかった。
小さな傷でも、大きな血管を傷つけると大出血する。
少なくとも、貧血っぽい立ちくらみを感じるくらいには、血を流した。
ラップを巻いて病院に行くと、「なぜ、こんな事をしているんだ」と医者に怒られた。
医者側からすれば「ラップを巻いて雑菌が入ると困る」なのかもしれない。
血まみれ包帯では眠れなかった。家に包帯はなく、ラップしかなかったのだ。
会社でも「猫?本当に?」と怪訝 な顔で確認された。
猫も噛 む。猫を虐めたわけでは、ない。
ちょっと狭い場所に入り込んだので、リードを引いたらびっくりして足に噛 みついてきた。
リードを付けた猫は変わっているらしい。
散歩をしていると、スピードを落として猫を二度見する車があった。
今でも、この時の傷は足に残っている。
<<前 目次 次>>