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✞ 木漏れ日の頃4 ✞

2022/11/01
文字数:約600文字

   【 仕事 】

 人を使う。
 人に使われる。
 別に私はどうでも良かった。


「これ、やっておいて」
 ボーっとしていた私に、指導者さんはチラシを渡す。
 私はそれを折る。
 自分の仕事は一通り終わらせて暇だった。
 それを見ていた先輩が同じ様にチラシを私に差し出す。

「これも、お願い」

 そして、私の机にチラシを置いてパソコン入力に行ってしまった。
 私は無言でそれを折った。


「カイヌシちゃんさ、ダメだよ。嫌なら嫌って言わなきゃ」
 それを見ていた、所長さんが私に言う。
 理解が出来なかった私は、顔をあげる。

「それは、指導者ちゃんと先輩ちゃんの仕事でしょ?
 カイヌシちゃんはカイヌシちゃんの仕事をしなきゃ」
 私は困った顔で考える。
 別に嫌じゃないし、暇だったから仕事をしてって言われただけで……
 そこへ、指導者さんが戻ってくる。
「指導者ちゃんさ。ダメだよ。カイヌシちゃんに自分の仕事させちゃ。
 先輩ちゃんもそれを見て真似してるし、カイヌシちゃん困ってるじゃない」
 所長さんが指導者さんに言う。

「そうなの?」
 指導者さんはそう言って、自分の机についた。
 所長さんは先輩にも同じ事を言う。
 そして、所長さんは自分の仕事のパソコン入力を始めた。
 戻ってきた先輩は耳元で私に囁く。
「もういいよ。今は所長が居るし、居ない時にしてね」

 ……見えない所でなら、いいのか?
 別にチラシを折るのは嫌じゃなかったが、この考えは嫌だった。




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