文字数:約306文字
【 遮断する心 】
待てなかった。
待とうと思った。
せめて、書類を書くまで―
携帯のアドレスが消える。
着信記録。
発信記録。
メールの受信箱。
送信箱。
そして、パソコンも同じように……
消し去った。
安堵する。
私が伸ばす手は無い。
私に届く声も無い。
ただ、傷跡だけが私に安らぎをくれる。
涙の雫の代わりに血の雫。
泣く必要なんて無い。
切る事は悪い事じゃない。
生きるために。
私が生きるために必要。
判ってなんてくれなくていい。
止めないでくれれば、それでいい。
発作的に切り出して、止まらなくなっても
止めない。罪悪は無い。
死ななければ、それでいい。
だって、変わったもの。
私は変わった。
傷が癒しになると知ったから――
いたみ。
傷あと。
リスカ。
×××。
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