文字数:約903文字
**河原デート**
付き合うと言っても、父は当時学生でお金がない。
大抵はお金がかからない、ドライブがデートになっていたらしい。
そんなデートを繰り返していたある日。
河原に車を停めた。
そのまま、車の中でおしゃべりをしているとコンコンと窓を叩 く音がする。
窓を開けると警官がいる。
そして……。
「君たち、パンツをはいて出てきてくれるか?」
二人はおそらくキョトンとしたのかもしれない。
なぜなら、パンツは二人とも履いている。
ただ車の中でおしゃべりをしていただけなのに、脱いでもいないパンツを履けと言われたのだ。
履くものがないので、そのまま車から出て、対応したらしい。
この話、両親の時代の話かなと思っていたら、そうでもなかった。
河原でいちゃつくカップルにはよくある事らしい。
私と年が変わらない従姉妹も河原でデートをしていたら、職質を受けたと言っていた。
河原デートは警察にご注意を。
**遭難と駆け落ち**
これは、父と母の結婚のきっかけになった……と言われていたデートの話。
冬も二人のデートはドライブだった。
その日は雪道の山をただ進んでいた。
そして、雪に突っ込んだ。押しても引いても動かなくなった。
冬の陽は短い。どんどん暗くなってしまう。
今のように携帯電話なんてない時代だ。
二人は車を諦めて歩きだして、警察に連絡した。
警察が来て、警察署で一夜を明かした。
翌日は家族が来て大騒ぎだったそうだ。
母曰 く、『山で遭難しかけて、大変だった』というので、私はそう信じていた。
でも、かなり後になって知った。
家族……父母の両親にとっては認識が違ったらしい。
この話は『駆け落ち』として親戚に広がっていた。
従姉妹が「あなたの両親って、駆け落ちしたんでしょ?」というのでびっくりした。
そんな話は一度も聞いたことがない。
が、よくよく話を聞くと、この時の話が『駆け落ち』として伝わっていたらしい。
……確かに、親 からすれば『駆け落ち』に見えなくもない。
おそらくこの件もあって、母の兄 は父に「(妹との結婚を)どうするんだ」と迫ったらしい。