文字数:約566文字
6歳になる事が嫌だった。保育園のお誕生会をぼんやりと覚えている。
クラス別ではなくて、全員が遊戯室に集まってみんなでお祝いをするのだ。
6歳は『将来の夢』を発表しなくてはいけなかった。
それを見ていたから、6歳の誕生日会は来なくていいと思っていた。
それでも6歳の誕生日は来てしまうし、誕生日会も行われた。
ただ、私の中の記憶は『将来の夢』の発表をどうしたのか覚えていない。
黙っていたのか。先生が読み上げてくれたのか……。
あんなに怖かった発表は、発表の前の方が記憶に残っている。
発表の前に、紙に『将来の夢』を書いた。
女の子はほとんど「およめさん」と書いたのだ。
もちろん、私も≪それが妥当≫と思って、「およめさん」と書いた。
しかく先生はそれを見て「みんなと同じはダメ」と言って、紙を突き返してきた。
突き返された紙を目の前にして、迷った。
≪ケーキ屋さん≫
≪花屋さん≫
無難な考えが、頭を巡るがどれもイマイチぴんと来ない。
【小説家】
『……。いやいや。それは、無理』
≪本屋≫
『……』
迷った揚げ句、「ほんやさん」と書いた。
大人になると夢を諦めるというけれど、私の場合6歳にして諦めていたんだな……と、今更思う。
『小説家』の夢は、小学校2年の文集で書いてみた。
……けど、やはり無理と思ってそれ以降は一度も書いていない。
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発表の前に、紙に『将来の夢』を書いた。
女の子はほとんど「およめさん」と書いたのだ。
もちろん、私も≪それが妥当≫と思って、「およめさん」と書いた。
しかく先生はそれを見て「みんなと同じはダメ」と言って、紙を突き返してきた。
突き返された紙を目の前にして、迷った。
≪ケーキ屋さん≫
≪花屋さん≫
無難な考えが、頭を巡るがどれもイマイチぴんと来ない。
【小説家】
『……。いやいや。それは、無理』
≪本屋≫
『……』
迷った揚げ句、「ほんやさん」と書いた。
大人になると夢を諦めるというけれど、私の場合6歳にして諦めていたんだな……と、今更思う。
『小説家』の夢は、小学校2年の文集で書いてみた。
……けど、やはり無理と思ってそれ以降は一度も書いていない。
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