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さて、会う日にちが決まって時間も場所も決まった。
守り人さんには、伝えて後は『目印は何にするか』を伝える。
私は、『梟 のリュック』に『蛙 のマスコット』を付けている。服はチェックのワンピースと伝えた。
しかし、守り人さんの目印はなかった。
『服装として、カラーシャツにスラックス…もしくは、その上にサマーセーターみたいなのを着てるかもしれない』
これが目印になるなら、私はエスパーになれると思った。
諦めて守り人さんが話しかけてくれるのを待つことになった。
当日は、会長様と一緒に待ち合わせ場所に行った。
時間には早くて、まだ誰も集まっていなかった。そこに、電話が鳴る。
守り人さんからだった。電話をしながらお互いの位置を確認して、会う事が出来た。
「はじめまして」
守り人さんがチラチラとこちらに向ける視線が、分かった。
何とも言いようのない気持ち悪い視線に感じたが、初対面だしこんなものだろうと思った。
私も守り人さんに目を向ける。
印象は……あまり良くなかった。なぜ、毛玉のセーターを着てくるのか理解に苦しむ。
服のセンスなどと言う事は追及しないが、最低限の身だしなみぐらいは整えてほしい。
こちらは『恋する乙女』のつもりで、可愛いワンピースを選んできたのだ。
なのに、守り人さんは毛玉セーター……私はその程度の服装で会って構わない人間だという事だろうか。
お互いに挨拶 を済ませて、他のオフ会参加者を待った。
私はと言えば、相変わらずの無言だった。チャットでは話せても、現実では話せない。
電話でさえ無言になる有り様だったので、これはお互いに予想内だったと思う。
代わりに会長様が、適当に守り人さんと話していた。
険悪ではなくて、あくまで『初対面の人間』としての対応だ。
やがて、参加者さん達が集まったので、昼食を食べにお店へ入った。
疲れであまり食べられず、私は気持ち悪くなってしまった。
皆が楽し気に食事をする中、隅っこで水を飲みながら気持ち悪さをごまかした。
お昼を食べると、アミューズメント施設へ向かった。
そんなに広くはない場所だったので、それぞれが好きに見て回っていた。
私は、疲れて椅子に座りこむ。
守り人さんが、私の隣に座ってきた。
「疲れたの?」
「……ちょっとだけ」
当たり障りのない会話をしながら、隣に座ってほしくはないなと思った。
別に守り人さんが悪いわけではないとも思う。
けれども、なんというのか……しつこい感じを受けた。
疲れたと言っているのだから、二、三言葉をかわして立ち去ってほしかった。
終わらない会話に少し困ったが、そのうち話題も尽きた。
やがて、会長様が戻ってきてくれて、「向こうへ行こう」と誘ってくれた。
私はその後について行った。
その後は、守り人さんとは最後に少し話すくらいで終わった。
チャットであれだけ話していたのに、私はやはり守り人さんを『好き』とは思えなくなっていた。
第一印象の悪さに加えて、視線や態度があまりにも露骨な『男』だった。
私がチャットで、煽 ったせいというのは分かるが、だったら毛玉セーターはやめてほしかった。
私は、守り人さんに幻滅しかなかった。
チャットのみだったせいで、勝手な理想像が出来上がったというのを差し引いても、この先は無理だった。
今まで目を瞑 って、見なかった事にしていたモノが全て、嫌悪感を持ってあふれ返ってきた。
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