文字数:約823文字
赤痢の騒ぎも忘れた頃に、アルバイトをすることを考えた。
働いた事がないという事が、いけない事のように思えたからだ。
私は求人情報で見つけた飲食店へ応募して、受かった。
が、一日で自分には合わない事を悟った。
失敗が多すぎて、迷惑もかけたので、使えない人間と言う判断もくだされた。
少しだけ親しくなった先輩が帰りに送ってくれて、少しだけ話をした。
「うちの店、トイレに塩があったでしょ?
あれね。×月にお客さんから赤痢が出て、うちの店じゃないかって疑われたの。
ちゃんと検査をしたけれども、何も出てこなくて、うちじゃないんだけど。
その後、客足も落ちるし、よくない事も続くしって事で、お祓 いをしてもらった。
その時に、トイレに塩を置いた方が良いって言われて、そうしているのよ」
そこで、その赤痢の話、うちの寮の話かなと思った。時期もちょうど合っていた。
他で赤痢が出たという話は聞かなかったので、たぶん、うちの寮だと思っている。
まさか、他の飲食店も調べられているとは知らなかった。
そんな話を聞きつつも、自分には合わないと思ったバイトはやめる事にした。
ある日、学校からの帰り道に他の学校の子とあった。
同じ寮で違う学校だけど、寮の友達と仲良くしている子だった。
寮の友達もその子もアルバイトを探していた。
あるお店の前を通ると、アルバイト募集の張り紙があった。
それを見ながら、「ここ、いい感じのお店だね。一緒に応募しようよ」と彼女たちが話し始めた。
「ねぇ。カタチさんも、一緒に応募しない?」
私も誘われたけれども、断った。
彼女たちは二人で応募して、二人とも落ちてしまったと後から聞いた。
再び、他のお店にもチャレンジしてみたけど、落ちてしまったと言っていた。
その後、「一緒に応募するのってよくないみたい。別々に応募しよう」と、片方が言い出した。
それ以降は一緒に応募をするのを、やめたようだった。
<<前 目次 次>>