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✞ 12話 迷宮関係 ✞

2023/06/24
文字数:約535文字
 家に戻り、お日様の下で考えると全てをなかった事にしたくなった。
 会長様は会長様で、会員には平等でいなくてはいけない。
 会長様は女性で、結婚しているというのも全てが引っかかってしまった。

 なぜ、私は『好き』だなどと伝えたのか。
 一生伝えるはずのない想いを、なぜ伝えてしまったのか。

 後悔しかなかった。

 数日後、メールで「あの事は忘れて」と送った。
 会長様から「なんのこと?」と返ってきた。
 ……怖い。本気で怒っている。

 いや。結婚していたよね?何で私が怒られる立場なの?
 という、疑問が出てきたが、私がそれを知っていると会長様は知らない。
 そしておそらく、会長様はそれを知られたくないと思っている。だから、私は問えない。

 怒っているので、会長様には「ごめんなさい」と返す。
 子供らしく、何もわかっていないふりをして「ごめんなさい。怖くなった」とだけ。
 聞きたいことは聞けない。言いたい事は言えない。飲み込んだ言葉の分だけ、おりまる。

 もう、サークルの会長と会員という関係ではいられない。
 いや。会長と会員と言う関係だけを残したまま、秘密の関係に変わった。

 私は何も知らないふりをする。
 会長様は私に何も知らせないまま、私を抱き寄せる。


 ずるかったのは、私?
 それとも……






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