文字数:約535文字
家に戻り、お日様の下で考えると全てをなかった事にしたくなった。
会長様は会長様で、会員には平等でいなくてはいけない。
会長様は女性で、結婚しているというのも全てが引っかかってしまった。
なぜ、私は『好き』だなどと伝えたのか。
一生伝えるはずのない想いを、なぜ伝えてしまったのか。
後悔しかなかった。
数日後、メールで「あの事は忘れて」と送った。
会長様から「なんのこと?」と返ってきた。
……怖い。本気で怒っている。
いや。結婚していたよね?何で私が怒られる立場なの?
という、疑問が出てきたが、私がそれを知っていると会長様は知らない。
そしておそらく、会長様はそれを知られたくないと思っている。だから、私は問えない。
怒っているので、会長様には「ごめんなさい」と返す。
子供らしく、何もわかっていないふりをして「ごめんなさい。怖くなった」とだけ。
聞きたいことは聞けない。言いたい事は言えない。飲み込んだ言葉の分だけ、澱 が溜 まる。
もう、サークルの会長と会員という関係ではいられない。
いや。会長と会員と言う関係だけを残したまま、秘密の関係に変わった。
私は何も知らないふりをする。
会長様は私に何も知らせないまま、私を抱き寄せる。
それとも……
<<前 目次 次>>