文字数:約842文字
【 休日 】
傷は誰の目にも触れさせたくないの。内緒話のようにひっそりと
秘密のままでいて欲しかったの。
次の日、父が指導者さんに連絡して私は休む事になった。
のは、私が知らない所でだった。
朝、目が覚めると食パンをいつも通り食べる。
私は会社に行くつもりだった。
が……
「仕事、手伝え」
いつもながら人の意見など、お構い無しに父は言った。
父の手伝いをしながら、私はぼんやりと切りたいと思った。
考えなければいけない事はたくさんある。
考えたくない事もたくさんある。
だけど、父の仕事を手伝ってる間は考える時間なんてなかった。
夜、酔った母が叫んだ。
「騒がせたかっただけなんでしょう!?」
――!!
私は何も言えずに俯く事しか出来なかった。
「おい!!」
父が止めに入ったが、私の耳にそれは届いている。
この時になって、私は初めて指導者さんが母に伝えた事を知った。
伝える事なんて、考えてなかった。
伝えて欲しくなんてなかった。
泣き声で叫ぶ母に何を言えばよかったのだろう?
それ以上母は何も言わなかったが、私は居たたまれなくて部屋を出た。
伝えた相手の一人、編集長さんとチャットをした。
私の欲しい言葉を言ってくれる。
母の事を話す。
編集長さん:『それはしょうがないよ。親も驚いてるだろうし』
しょうがないのかぁと悲しくなった。
その話は長くは続かず、重くなったり、軽くなったりしながらお喋りを続ける。
ノア:『あのね。指導者さんに、見せようと思うの。サイトのお家で書いた事』
編集長さん:『止めた方が、良いと思うよ。』
ノア:『でも、見せてみたい』
編集長さん:『今まで判ってくれないと思ってたから、言えなかったんじゃないの?』
ノア:『そうかもしれないけど』
編集長さん:『それに、きっと判らない人に見せてもノアちゃんが傷つくだけだよ?
それでも見せるの?』
ノア:『見せてみたい。傷ついたら、泣きつきに来る~(笑』
その夜は話に熱中して、久しぶりに切らなかった。
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