文字数:約1103文字
【 傷痕2 】
言葉が見えない。自分が見つからない。
私はなぜ、伝えようとしたの?
気分が落ち着いたのは1時間以上経ってからだった。
足が痺れていた。
指導者さんにメールを送った。
『ごめんなさい。出来ない』
折り返し電話があった。
話し合おうというもの。
指導者さんと従姉妹ちゃんが来た。
私は降りてきた従姉妹ちゃんと話し合う。
「どうしたいの?」
従姉妹ちゃんがそう聞く。
私はちらりと車に乗ってる指導者さんのほうを見た。
「指導者さんには聞こえないし、私になら何言っても平気だよ」
私は迷う。
言葉が見つからない。
そうこうしてる内に、会社の人が出てきた。
「あら? 何してるの?」
「いえ。別に」
従姉妹ちゃんが苦笑いで答えた。
「ほら、どうしたいのか言ってくれないと」
少々、苛立った様子で従姉妹ちゃんは言う。
「……指導者さんも一緒に」
私は小さな声で、そう言った。
そして、車に乗って場所を移した。
3人でファミレスに入る。
お昼には時間が早く、かなり席が空いていた。
早めの昼食をとることになった。
「食欲無いでしょ?」
従姉妹ちゃんが私に向かっていった。
私は苦笑いをした。
食べ終わる頃、私は指導者さんに手紙を差し出した。
内容は日記のようなもの。
読み終わるのを待ちながら、私はご飯を口に運ぶ。
味はしなかった。
「わからない」
指導者さんは読んだ後、そう言った。
そして、何度か読み直す。
「従姉妹ちゃんにも読んでいい?」
指導者さんは私に聞いた。
私が頷くのを見て、従姉妹ちゃんに紙を差し出す。
怖かった。
――判ってもらえなかったら?
――これ以上、傷ついたら?
――判って欲しい!!
「暇なんだね」
それが、返事だった。
一瞬、言葉を見失う。
……何て言ったの?
血の気が引いた。
……それが答え?
眩暈がする。
『暇』
私が傷つくのも、暇だから?
「こんなの書く暇あるなら、小説でも書けば?」
……。
声が出ない。
「わかるかも」
ふいに従姉妹ちゃんが呟く。
「死にたいんでしょう?」
違う。
違う。
違う。
どこにそんな言葉があるというのか。
頭がぐらぐらする。
「皆、仕事なんて嫌なんだよ? それでも、頑張ってるんだから。そんな事でどうするの?」
指導者さんが宥めるように私に言う。
皆って? 皆ってナニ?
その中に私は居ないんじゃないの?
納得なんてしてなかった。
けど、私は笑ってみせる。判ったという風に。
「ちょっと、お手洗い」
私はそう言って席を立った。
眩暈がする。
絶望と窒息感と狂気。
腕を切ってしまいたかった。
その感情を抑えて、ふと私は鏡の中の自分を見た。
酷い顔をしていた。
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