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✞ 21話 受験 ✞

2023/02/18
文字数:約965文字
 私は推薦受験を受けた。

 受験は私だけではなく、はーちゃんもだったが……はーちゃんは高校のレベルを下げて受験することに決めた。
 それまで兄弟で比べられてウンザリしたせいだと、後から聞いた。
 ただ、はーちゃんの中学生活は優等生とは程遠く、どちらかと言えば先生の印象の良くない不良系だった。
 親が学校に呼び出されたのは、小学と中学で1回ずつ。
 大したことではないとはいえ、親の呼び出しがあったのは兄弟の中ではーちゃんだけだった。
 成績だけなら兄弟間で差はないけれども、素行だけを見るならはーちゃんは一番悪かった。
 もっとも、はーちゃんから見たら『皆、まじめすぎ』なのかもしれない。

 そんなわけもあってか、家族は私の受験を中心的に応援してくれた。
 はーちゃんは高校のレベルを下げた事で、合格はほぼ確実だという事もあったかもしれない。
 私はと言えば、県外のよく分からない専門学校を選んだのだから、親は不安しかなかったと思う。

 ともかく、推薦受験の日は家族で県外まで送ってくれることになった。
 行きは前日から車を走らせ、帰りは受験日の夜遅くに家に辿たどり着いて、皆、泥のように眠った。
 次の日は連休明けだった。疲れていたせいか、母が寝坊して、家族みんなの目も重かった。
 朝はバタバタとして、過ぎて行った。家族の誰も新聞もテレビも見ていなかった。


 学校に着くと、いつもと明らかに違ったものが見えた。
 校門の前にカメラを構えた人やテレビのリポーターのような人がいる。
 学校に入って行く人に話を聞こうとしているのが分かった。
 どこかの部活が優勝か何かでもしたのかな?と思ったが、それでも、今までこんな事はなかった。
 何より、そんな事なら正式な取材を申し込めばいいだけで、こんな校門の前で張るような事はない。

 校門の前で張るような出来事で思いつくのは、『悪い事が起きた』時だけという結論に達した。
 けれども、その『悪い事』が何なのか分からない。
 少なくとも、受験出発前の新聞やテレビには何もなかった。
 という事は、今日か、もしくは受験日の昨日の新聞に何かあったわけだ。
 このくらいまでは予測できても、それ以上はさっぱり分からない。
 放課後ではないので、相談室に行って聞くことも出来ない。
 とりあえず、私はこの問題を一旦いったん脇に置こうと思って、教室に入った。




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