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仕事をやめると、ほぼ毎日チャットをするようになった。
1・2時間ほどがあっという間に過ぎて、寝る時間になる。
そんな日が続いた。
守り人さんとの会話は、ちょっとした日常の事や、ビジネスマナーや、最近の若者は……みたいな話だった。
守り人さんの年齢は私よりも一回り上だった。
まだ二十歳そこそこだった私にとっては、ひと回りはずっと上のような気がした。
真夏に、守り人さんにコンサートに誘われた。
コンサートの場所は九州・長崎。日本の西。守り人さんの居住地域は関東。私の居住地域は北陸。
最初の誘いは、『現地集合。現地解散』だった。
私は仕事をやめたので、お金がない。それを伝えた。
守り人:相方が車を出すから、そっちに回るよ。一緒に行こう。
メンヘラな私でも、『それは、マズイ』という正常思考は残っていた。
が、メンヘラな私は『どうなっても、構わない』という思考も持っていた。
一瞬の沈黙のうちに私は答えた。
タナトス:いいの?本当?嬉 しい♪
正常思考が『マズイ』と訴える中、メンヘラな私は『♪』を付けて守り人さんに、行く気満々の回答をしていた。
この話は、数日後にひっくり返る。
理由は
『会長様に反対されて、断った』
不安定な私は、自分で自分の事を決めることさえ、ままならなかった。
後日、守り人さんからコンサートのお土産話だけを貰 った。
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