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✞ 7話 オフ会 ✞

2023/06/01
文字数:約922文字
 会長様のいない間、ずっと守り人さんとチャットをしていた。
 会長様と守り人さんを比べては、私は落ち込んでいた。自分がとても嫌な人間に見えて、仕方がなかった。

 仕事を始めて、会長様も戻って来た。
 チャットやメールをするようになったけれど、以前のように頻繁にするのはやめようと思っていた。

 運よく、チャットで会長様と話せたある日。

 ノア:会社でお花見があるらしいの。

 会長様:いいね。こっちでもやる?お花見オフ会。

 ノア:いいの?やってほしい。

 会長様:あの時以来だね。何年経った?

 そんな話の流れで、守り人さんの話になった。
 「オフ会で会えば?その方が安全だし、ノアちゃんも安心でしょ?」と、会長様が提案してきた。
 会長様に会いたい。守り人さんもどんな人なのか知りたい。ワクワクとした気持ちで、東京オフ会の予定は着々と進んだ。


 守り人さんは私の誘いを渋りはしたが、断らなかった。そして、オフ会で会った結果は散々だった。

 お花見オフ会の参加者には、前回の東京オフ会で会った人たちもいた。
 私は一切聞いていなかったが、裏では会長様と会員様による守り人さんへの査定が行われていたらしい。
 彼らの結論も『ひどい』『ない』『あり得ない』だった。
 私が感じたものは間違っていなかったらしく、その辺りの点がマイナスだったらしい。
 ……おせっかいだったのは、会長様だけではなかった。


 後から、『守り人さんも怖かったと思うよ』と、会長様に言われた。
 けれども、守り人さんの『車で一緒に行こう』という誘いの方が怖かったので、それに比べたらどうってことはないだろと思ってしまった。
 私の知り合いが多い場所ではあったけど、車の中や個室には誘っていない。
 ついでにオフ会参加者も全てが知り合いというわけではなく、私が初めて会う人も多かった。

 オフ会後は会長様との距離が少し縮まった。
 私が守り人さんへの判定を『無理』に傾け始めたせいもある。

 会長様へ私の想いが届く事はない。けれど、かと言って、守り人さんへの想いが膨らむことはもうない。
 このまま会長様とつまらないやり取りができるだけで、充分だと思った。
 以前のように毎日のやり取りではなくても、このままでいいと思っていた。




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