文字数:約458文字
私はそれでもメールを出していた。
返事は一切ない。
やがて、メールも出さなくなった。
最初から『言えない』関係だっただけ。
会長様と私は鏡に映したようだった。
鏡に映したように、『不安』が大きかった。
だから、お互いがお互いの不安に苛まれたら、関係は終わる。
大切だから、特別だから、思えば想うだけ、不安しかない。
未来はない。
安心もない。
本当に大切ならば、『自分ではない誰かと一緒に居た方がいい』
会長様は何度も私に、「私以外の良い人を見つけな」と言っていた。
いろいろなものが合わない。
なのに、合っていてはいけない不安が絶妙に合致してしまってる。
不安をかき消す要素は一切ない。
どう頑張っても、『この関係に未来はない』
私に出来ることは限られている。
願う事と祈る事。
どうか、会長様が幸せであります様に。
どうか、会長様が疲れていません様に。
私に出来るのはそれだけ。
……。
それでも少しだけ、『もしも』を考える。
もしも、私が会長様の友達で『言葉に出来る関係』だったなら、何かが変わっただろうか。
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