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✞ ☆番外☆ お菓子とジョーク ✞

2023/06/25
文字数:約677文字
 私はお菓子作りに興味がない。
 そもそも、料理全般が好きではない。

 そんな私も一度だけ、お菓子を作って会長様に渡した。
 出来は良くなかった。もともと、興味のないジャンルである。何が良いのかも分からない。

「へぇ。乙女だね。そっか。近くにいるとこんな事も出来るんだ」

 会長様はそう言って、受け取って食べてくれた。
 が、会長様の手が止まる。

「味見した?」
「ごめん。時間なかった」

 思いつきの突発的な料理だったので、約束の時間に遅刻するくらいまで作っていた。
 会長様の顔は微妙な表情をしていた。

「中には、何が入っているの」
「えっと…小麦粉。砂糖……なんだっけ」

 レシピも雑なので、覚えていなかった。

「毒は、入っていないよね」

 私は固まってしまった。冗談なのだと思うけれど、傷ついた。

「ごみとか、ほこりとかなら入っているかも」
 私は笑って返した。
 それ以上は時間がなかったので、解散した。

 私はメールで「無理に食べなくていいよ」と、伝えた。
 会長様からは「無理だったから、捨てた」と返事が来た。

 けど、その理由は「ごみやほこりが、入っているかもしれない」なんて言われて、食べられなくなったと言うものだった。
 私は会長様が先に、「毒が入っている?」と聞くからだと言ったが、「そんなの冗談で言っただけ」と返って来た。

 最終的にはお互いに謝って、この件は終わった。

 けれど、よく考えれば会長様のお母さまは『プロ級の腕』と聞いたような気がする。
 そんな人には敵わないなと思ったので、無理をして料理をする事は二度となかった。
 何より、こんなめんどくさい事で、もめるのも嫌だった。




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