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✞ ☆番外☆ 会いたくない ✞

2023/06/25
文字数:約542文字
 会社の男性にデートに誘われた。コンサートに行く約束をさせられた。
 私は行く気がなかった。うっかり、『断るタイミング』を逃した事を後悔していた。

 同じ日、コンサートの後に会長様に会う予定を入れた。
 こうすれば、コンサートの後の誘いを断る事が出来ると思ったからだった。

 けれど、当日はどちらも行かなかった。
 憂鬱ゆううつな気分のまま、布団の中でごろごろしていた。
 連絡がないままというのは、さすがにマズイと思ったので、会長様には連絡を入れた。

「そっか。コンサートには行かなかったの?」
「うん」
「じゃぁ。こっちに直接来る?」
「……ごめん。無理」

 体調が悪いわけではない。ただ、何も考えたくなかった。
 電車の騒音も、人の喧騒けんそうも、会長様に会うことも、嫌だった。

「え?準備していたのに………」
「ごめん」

 悪いなと思いながら、身体は動かない。外出する気力がない。
 電気をつける気力もなく、部屋は暗かった。

 暗い部屋の中で、会長様との電話が終わって私は携帯を放り出す。
 再び布団に突っ伏しながら、一日、何も食べていないなと思った。
 気がつくと、朝になっていて、そのまま仕事に行った。

 私はこの後も守れない約束をする。
 ドタキャンや遅刻は当たり前になってしまう。

 人に会う事が、会長様に会う事が、苦痛だった。





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