文字数:約514文字
妹が東京へ遊びに来たので、会長様に泊めてほしいとお願いした。
けど、前日、用事が出来たから無理と連絡が来た。
それを無理やりお願いして、泊めてもらった。
いろんな意味で、無理をしたなと思う。
一応、妹の前では笑っていたが、お互いに全然笑えていなかった。
「はじめまして」の挨拶 が終わると、妹を連れて会長様の部屋へ行った。
ふと、部屋を見渡すと、以前よりもモノが増えている事に気がついた。
「モノが増えて……る」
振り返って会長様に話しかけようとした言葉は、空に消えた。
独り言のようになってしまった言葉に、マズイと思ったけれど後の祭りだった。
妹が言葉を拾って、広げてくれたら……なんて思ったけれど、疲れている妹は私の言葉を聞いてもいなかった。
「あの部屋は私の部屋なのに、なぜ、自分の部屋のように言うの」
妹が帰った後、会長様から怒りのメールと言葉を貰 った。
「私に話しかけてくれるなら分かるケド、独り言で言う言葉ではないでしょ」
会長様の言葉は尤 もだった。
「ごめん。そんなつもりはなかった」
と謝ってなんとか、怒りを収めてもらった。
本当は、話しかけようと思ったけれど、会長様が怖くて話しかけられなかった……とは、言えなかった。
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