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✞ 1話 サークル ✞

2023/06/01
文字数:約906文字
 会長様との出会いは、趣味のサークルだった。
 日本中に会員様がいて、私はただの会員だった。高校生以上対象のサークルで、会報が二カ月に一度。
 学校の外の集団と出会うという事がなかった私に、そのサークルはとても新鮮なものに映った。

 同じころ、コタミちゃんに誘われて別のサークルにも所属した。
 そこは10名程度の小さな規模で、説明のない「内輪ルール」をうっかり踏んでしまったので辞めた。
 コタミちゃんもそれほど熱心ではなかったらしく、長くは続かなかったらしい。
 イベントにもコタミちゃんに誘われて行ってみたが、ド田舎のイベントでさえ「人混み」に疲れて二度と行くものかと思った。


 高校卒業前に出会った趣味のサークルは、一人で黙々と会報に投稿するだけだった。

 それが少しだけ変わったのは、進学後の事。
 実家から離れた県外で、「オフ会」が行われるとのお知らせが回ってきた。
 オフ会主催は、そこに住んでいた会員様。
 さすが全国規模である。「オフ会参加者募集」をして、人が集まるだけの人数がいる。もちろん、その場所がある程度の『都会』だったということもある。


 初めてのオフ会に参加してみた。
 参加者は4人。主催者のお友達が進行役兼おしゃべり役だった。
 他は……私も含めて大人しい感じで、話が弾まない。

 それでも、話にはうなづいたり笑ったりしていた。
 主催者のお友達さんが唐突に私にこう言った。

「笑っていいよ」

 私は笑っていたつもりだった。
 相手がそれほど重い意味で言ったわけではないのは、分かっている。
 だからこそ、私の中では言葉が重く沈んでいく。

 笑おうとすればするだけ、『どうしたら笑っていることになるのか』分からなくなる。

「もぅ、みんな、大人しすぎ。もっと爆笑していいんだよ」

 お友達さんが、笑いながら私たちにそう言う。
 怒っているわけではない。場を和ませるための、ただの言葉。

 頭では理解できるけれども、気持ちがついていかなかった。

 私の中で『笑えないんだ』と自覚してしまった言葉になってしまった。
 笑えない理由も私にはわかっていた。
 中学の運動部で「気持ち悪い」と言われたからだった。




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