✞ 3話 先生いじめ ✞
文字数:約879文字 いじめられっ子の物が壊されたり、無くなったりするたびに先生は 「そんな事をしてはいけません」 と丁寧に注意する。 先生は犯人探しをしないし、特定の人物への注意をしない人というレッテルがすぐに張られた。 いじめられっ子には自分を助けてくれない人として...
文字数:約879文字 いじめられっ子の物が壊されたり、無くなったりするたびに先生は 「そんな事をしてはいけません」 と丁寧に注意する。 先生は犯人探しをしないし、特定の人物への注意をしない人というレッテルがすぐに張られた。 いじめられっ子には自分を助けてくれない人として...
文字数:約1074文字 学校が始まった頃、私は小学校と言う場所が嫌いでも好きでもなかった。 クラスメイトに従姉妹のスズメちゃんがいて、私はスズメちゃんを通して近所の子達と関わるようになった。 同じ保育園だった「みーちゃん」や「しゅんちゃん」は、そのうちに話すようになった...
文字数:約810文字 初めての制服は、着方がわからなかった。 肩ひものついたスカートなんて着た事がなかった。 ブラウスにスカート。そしてジャケット。 みんなが同じ服を着ている。 保育園のようにスモックと体操服だけ同じではなくて、全部同じ。 そして、時間通りにみんな...
文字数:約986 文字 小さい頃は母親と手をつなぐものらしい。 私の両手にあったのは、いつも荷物だった。 母の手は小さな妹たちのもの。弟が生まれた後は弟のものだった。 私とつなぐ手は母にはなかった。 そんな中の唯一の『母と手をつないだ記憶』 それは保育園を終了し...
文字数:約1027文字 ☆番外☆ もう一人の兄弟の記憶 私には妹が二人、弟が一人いる。 けど、弟が生まれる前にもう一人、母のおなかの中に存在していた。 その日、母は山菜を取りに山に行った。 山菜を取に行って、生理の血がとまらない事に気が付いたらしい。 いつもよ...
文字数:約776文字 ☆番外☆ 女の記憶 弟は『唐突にやってきた、新たな兄弟』であると同時に 『私が女であり、要らないもの』という事を印象付ける存在でもあった。 ド田舎の待望の長男である。 周囲の喜びようは半端ではなかった。 誰もが 「やっと、男の子ね。お...
文字数:約969文字 もう一つ、おひなさまの話。 5歳の大掃除の時間だった。 みんながホウキやチリトリ、 雑巾 ( ぞうきん ) を手に掃除をしていた。 私は、言われた場所をやり終わって、次は何をしたらいいんだろう?早く掃除が終わらないかなと思っていた。 何かをし...
文字数:約864文字 保育園では、時々工作がある。 その時は、数人でグループを作って、菓子箱などでおひなさまを作った。 ひな壇を作って、子供の背丈くらいの高さにおひなさまを飾って、その下は女官などを飾った。 それぞれのグループが、個性的なおひなさまを作っていた。 おひな...
文字数:約1362文字 はーちゃん ( 下の妹 ) の手には傷跡が残っている。 その傷は私と、 ほっちゃん ( 上の妹 ) と、はーちゃんとで遊んでいる時に出来た。 いつもの遊び の、はずだった。 おままごとをしていた。 泥団子を作って、葉っぱのお皿に並べる。 ...
文字数:約1251文字 私が5歳の時、突然、弟が現れた。 よくドラマなんかでは「弟が出来るのよ」なんて、子供にいうシーンがあるが、そんなものは一切なかった。 私たちは何日間か祖母の家に預けられて、母に会えなかった。 会えたと思ったら、母の腕の中に弟が居た。 成人後に、...
文字数:約566文字 6歳になる事が嫌だった。 保育園のお誕生会をぼんやりと覚えている。 クラス別ではなくて、全員が遊戯室に集まってみんなでお祝いをするのだ。 6歳は『将来の夢』を発表しなくてはいけなかった。 それを見ていたから、6歳の誕生日会は来なくていいと思ってい...
文字数:約1169文字 私が小さい頃は、親の 喧嘩 ( けんか ) が絶えなかったように思えた。 思えただけで、実際の頻度はあまり覚えていない。 親はなるべく私たちに 喧嘩 ( けんか ) を見せないようにはしていた。 私たちが眠ってから、バトルをするのだ。 喧嘩 ...
文字数:約1029文字 その日は保育園のお祭りだった。 ほっちゃんと、母と、私でそのお祭りに行った。 ヨーヨーや輪投げなど、簡単なゲームがいくつかある程度の簡易な祭り。 手作りの品なども売られていた。 猫の飾りを買った事を覚えている。 その中で動物のメダルのようなも...
文字数:約688文字 幼いころ、山へドライブに行くと影を見た。 木々の間に影が揺らめくのが見えるのだ。 私はそれを 『お母さんだ』 ≪幻だ≫ 【鬼だ】 と思った。 なぜ、それを「母」だと思い、「鬼」だと思ったのかよく覚えていない。 が、それらは同時に『幻』でも...
文字数:約1344文字 保育園では私は 喋 ( しゃべ ) った記憶がない。 記憶がないだけで、 喋 ( しゃべ ) った事があるかもしれないが、記憶する限り首ふりで答えていた。 例外は、 ほっちゃん ( 妹 ) だけだった。 とはいえ、ほっちゃんとは年が違う。もちろん...
文字数:約1097文字 『普通に、普通に……』 気が付かれたくなかったので、なるべく普通にするように頑張って歩こうとする。 が、足をつける度に痛みがズキンズキンと襲ってくる。 カバンまでは頑張って普通に歩けた……と思う。 頑張れたのはそこまでだった。 歩くたびに痛...
文字数:約1234文字 母はいつも何かに怒っていた。 私たちがコップのお茶やジュースをこぼすのは日常茶飯事。 そのたびに母が怒鳴る。時には手が出てくる。 そのうち母の手が飛び出す前に、雑巾を持ってくる事を覚えた。 私よりも、ほっちゃんの方が 叩 ( たた ) かれてい...
文字数:約1660文字 母は、私と ほっちゃん ( 上の妹 ) を保育園に入れた。 初めての保育園で私は大泣きしたらしい。 もちろん、覚えていない。 しかく先生が私を抱っこして、連れて行ってくれたそうだ。 私の記憶にある保育園の一日はこんなものだった。 毎朝ク...
文字数:約749文字 私たちをお風呂に入れるのは、父の役目だったらしい。 確かに気が付いたら、父と妹たちと一緒にお風呂に入っていた。 弟が生まれると、湯船が狭くなったので妹たちと入るようになった。 そして、最近になって知ったのだが、父はお風呂場でこんな事をしていたらしい...
文字数:約1099文字 さらに一年もしないうちに、また妊娠が判明した。 そしてその頃、新しい家を建てた。 1歳の私に、ゼロ歳の妹、お腹の中の子供を抱えて、母は引っ越しの荷物を運んだらしい。 父はと言えば、家を建てていた。 土地は 父の父 ( 祖父 ) から贈られたもの...
文字数:約1454文字 母は片方の卵巣を失って、子供を諦めた。 諦めてしばらくしたころ、妊娠が発覚した。 父と母が結婚して9年目の事だった。 それが、私。 母にとっては信じられない事だったらしい。 おなかの中にはエイリアンがいると思ったそうだ。 私が生まれたの...
文字数:約482文字 これを読んでいる方のほとんどの人は、自分の『母子手帳』があると思います。 もしかしたら、理由があって持っていない人もいるかもしれませんし、昔なので取得していない人もいるかもしれない。 父の母子手帳が出てきたので、見てみました。 書いてあるのはう...
文字数:約927文字 父と母は、結婚後に父の家に入った。 結婚した女に向けられる言葉と言えばこれしかないと思う。 『子供はまだなの?』 今、そんな事を言えばハラスメントになるが、母の時代は『ハラスメント』なんて言葉さえない。 悪意もなく「子供はまだなの?」という言葉...
文字数:約1033文字 父と母は結婚前に 同棲 ( どうせい ) をしていた。 引っ越し費用を母が出し、 箒 ( ほうき ) とチリトリ、一組の布団と食器ぐらいを買ったらしい。 洗濯機や冷蔵庫はない。もちろんテレビもクーラーもない。 洗濯は たらい ( ・・・ ) で行...
文字数:約903文字 **河原デート** 付き合うと言っても、父は当時学生でお金がない。 大抵はお金がかからない、ドライブがデートになっていたらしい。 そんなデートを繰り返していたある日。 河原に車を停めた。 そのまま、車の中でおしゃべりをしているとコンコン...
文字数:約928文字 ちちと ははの おはなし 父と母が出会ったのは、子供の頃だったらしい。 ただ、母はその事を覚えていない。 だから、これは父から聞いた話。 父と父の兄は少し年が離れていた。兄弟仲は良かったらしい。 ある日、父の兄の友達の家へと遊びに行った。 ...
文字数:約1380文字 ははの いえの おはなし 父の家と比べると、母の家はそれほど古くなかったようだ。 母の父 ( 私の祖父 ) が二代目だった。 いくつかの田んぼを持っていたが、農業のみをしていたのか、他の職業もしていたのかは全く分からない。 母の父 ...
文字数:約483文字 ちちの いえの おはなし 父の家は大きな屋敷だったらしい。 昔は今の倍の広さを持った屋敷だったらしい。 跡継ぎだった伯父さんが何代目なのかは知らない。 近所には、遠い親戚らしい家が数件あり、数代さかのぼると 繋 ( つな ) がるらしい。 ...
文字数:約432文字 とおい とおい むかしの おはなし 山を見上げ、海を見下ろす土地にご先祖様は住んでいた。 島国のどこでもある風景。 わずかな平地に水田を作り、作物を育て集落を築き上げていた。 それらは洪水であっという間に壊される。 そしてまた、一からのやり直し...