✞ ☆番外☆ 運動会 ✞
文字数:約701文字 中学で、運動会の看板を描く事になった。 それぞれの団の後ろにある、応援の看板。それは四神の姿が描かれていて、その年もそれぞれの団が四神を描いた。 下絵に沿って、塗る。たぶん、美術部だったからだと思うけれど、なぜそうなったのかは覚えていない。 私とこ...
文字数:約701文字 中学で、運動会の看板を描く事になった。 それぞれの団の後ろにある、応援の看板。それは四神の姿が描かれていて、その年もそれぞれの団が四神を描いた。 下絵に沿って、塗る。たぶん、美術部だったからだと思うけれど、なぜそうなったのかは覚えていない。 私とこ...
文字数:約433文字 中学校と違って、高校では部活は入らなくてもよかった。 強制的にどこかに所属しなければいけなかった中学と、全く自由な高校。 私は美術部に再び入ろうかと考えた。 が、美術室は音楽室の真上だった。音楽室では吹奏楽部の音がだだ漏れでうるさい。 さらに、見...
文字数:約704文字 高校受験後から、本格的にインターネットに触りだした。 周囲からは「インターネット、 使えるの?すごいね ( よく分からない。オタクだね ) 」と言われる時代。 電話回線でつないでいたので、 繋 ( つな ) がるまでが長く、長くつなげておくことも出来...
文字数:約976文字 伯父 ( 父の兄 ) さんは数年間、がんと闘った末に亡くなった。 スズメちゃんは私と同じ高校三年だった。トンボ君は中学三年。アゲハちゃんは成人したばかり。 アゲハちゃんはすでに結婚していたという事もあって、トンボ君が喪主を務めた。 父と 伯父 ...
文字数:約1157文字 卒業前、事件の事も一段落した頃に元担任から手紙が来た。 それを読んだ後は……破り捨てたくなった。 それほどひどいものだった。 実物は無いので、記憶にある限りで書くとこんな感じの手紙。 『○○さんへ こんなことになってしまって、ごめんね。 け...
文字数:約1313文字 家に帰って、私が何かを言う前に母が「大丈夫だった?」と聞いてきた。 「テレビがいたけど、何があったの?」 私は早速聞いたが、母は「新聞を読めばわかるわよ」と言った。 当時は全国紙をとっていた。全国紙の中の地方の紙面に小さくその事件は載っていた。 ...
文字数:約1035文字 教室内の空気はもっと異様だった。 泣きだしている女子がいる。あちこちで 囁 ( ささや ) き声が飛び交っている。 けれども、具体的な話は全く分からない。 が、教室の空気が『悪い事はこの教室内の出来事』という事を伝えてきた。 ホームルームにやっ...
文字数:約965文字 私は推薦受験を受けた。 受験は私だけではなく、はーちゃんもだったが……はーちゃんは高校のレベルを下げて受験することに決めた。 それまで兄弟で比べられてウンザリしたせいだと、後から聞いた。 ただ、はーちゃんの中学生活は優等生とは程遠く、どちらかと言...
文字数:約809文字 3年生になって、受験の話がメインの日々になってきた頃。 私は専門学校への進学を決めて、準備を進めていた。 けれど、推薦入試を選んだのは書類提出ギリギリのタイミングだった。 書類は学校での記載部分を残して、すべて書いた。 学校で必要な記載部分を書い...
文字数:約1257文字 相談室は保健室の隣にあった。 2年の途中から卒業まで、放課後は相談室に行った。 相談室は二つに分かれていて、片方は『相談する場所』片方は『先生がいる場所』だった。 最初は相談者がいても、「静かにしているなら、いてもいいよ」と言ってもらえていた。...
文字数:約972文字 2年も半ばになったころ、こたみちゃんと再び話すようになった。 正直、何がきっかけだったのか全く覚えていない。 とにかく、放課後になるとこたみちゃんが来て、私を保健室に連れ出す。 具合が悪いわけではなくて、保健委員になったから手伝えと言うのだ。 私は...
文字数:約1150文字 高校の教室で私は、一人だった。 3年に一度の文化祭があった。各教室が出し物を出す。就職コースだった私のクラスは、進学コースとは違って『お金』を扱う事が出来た。 けれど、お金はいろいろと面倒なので『お化け屋敷』に決まった。 「今日、皆で作るからね」...
文字数:約707文字 入学してすぐに話しかけてきた子が居た。 その子と仲良くなることはなかったし、私に話しかけてきた理由もよく分からない。 大人しくて、扱いやすそうと思われたのかもしれない。 私はクラスではほぼ誰とも話さない学生生活を送っていた。 それまでは、何だか...
文字数:約659文字 高校に入って、初めての三者面談の時だった。 いつものように、可もなく不可もない会話で終わって、母と教室を出た。 次の人が入ってくのを目の端で見つつ、廊下を歩いて教室から離れて行く。 教室から離れて、階段を降りながら母がぽつりとつぶやいた。 「なんだ...
文字数:約1291文字 教室に教育実習生が来た。 元気で若く、はつらつとした感じの教育実習生は、担任と比べるととても真面目に見えた。 もちろん、担任だって初めからこんな『手抜き』だったわけではないのだろうけれども。 ちょうど実習の時期に高校総体があった。 私たち一年生...
文字数:約926文字 高校の担任は、特に特徴のない男性だった。 誰かに似ていたとか、面白いという要素とかは見当たらなかった。 ただ、担任が顧問をしている部活が結果を残していて、それは担任のおかげという事らしかった。 それまで弱小だった部活を強くしたのが担任なのだと。 ...
文字数:約920文字 特にやりたい事も、夢や希望も何もなく高校生になった。 唯一、存在したのは、『まだ、生きているなんて』という絶望だけだった。 推薦入試を頑張った割には、高校には何も期待をしていなかった。 高校でも半分くらいは見た顔だった。 こたみちゃんとは同じ高...
文字数:約1036文字 しつこいが、私はお 喋 ( しゃべ ) りが苦手だ。 私が何とか最低限のお 喋 ( しゃべ ) りをしていたのは、こたみちゃんがいたからだ。 受験の時、推薦入試が視野に入らなかったのは『面接』があったから。 ホタルちゃん ( 母方従姉妹 ) ...
文字数:約1263文字 新校舎は明るくて木の香りが心地よかった。 廊下があることも、便利な事だと思っていた。 それは、掃除の時間が終わった後、皆がそれぞれバラバラと教室に戻っていく。 私はとても疲れていたので、皆が戻るのを見ながら教室にゆっくりと戻って行った。 と、...
文字数:約982文字 中学校入学時はボロボロの校舎に入って、このままこの校舎で卒業するのかと思っていた。 中学2年の終わりには、新校舎予定地に工事車両が入った。 新校舎は急いで作られて、中学3年の夏休みには完成した。 残り半年ほどしかないその校舎への引っ越しの中心は、...
文字数:約1337文字 ある日の調理実習の時。 事件は料理完成後、盛り付けの時に起きた。 グループの男子が席を立って、テーブルから離れた。 その隙に他の男子がその男子のお皿に、なにかをしているのが見えた。 見えたが、具体的に何をしているのかは分からなかった。 ひそ...
文字数:約645文字 私が中学生になると、 くーちゃん ( 弟 ) が小学生になった。 それまでは私と父、 ほっちゃん ( 上の妹 ) と母、 はーちゃん ( 下の妹 ) くーちゃん ( 弟 ) と祖母の組み合わせで学校の親子行事をしていた。 私が中学になって父は抜けた。...
文字数:約1473文字 小学生の時から、あまり 喋 ( しゃべ ) らない子が気になっていた。 彼女とは小学校でクラスが一緒だった。名前はカワムラさんと言った。 中学の1年生までは一緒のクラスで、2年からは体育の時間だけ一緒になった。 お互いに 喋 ( しゃべ ) ら...
文字数:約1627文字 美術部は、ほとんどが幽霊部員だった。 部活の日(授業時間に組み込まれている)でなければ、人は集まらない。 私が入ったのは1年の半ばというころだったので、最初の部長はさっさと引退して次の部長へと引き継がれた。 新しい部長は人が来ない事を嘆きながらも...
文字数:約1167文字 中学では、最初に運動部に入った。 運動音痴の私が、運動部に入ったのは単なる興味本位と友達に誘われてだった。 最初は友達と一緒に真面目に部活をしていた。 部活場所は3カ所あって、一つは学校。一つは家から遠い体育館。一つは家の近くの体育館だった。 ...
文字数:約858文字 一学年のクラスが増えて、教科ごとに先生も変わる。 関わる先生の数がぐっと増えた。 小学校の先生は真面目でこれと言った特徴がない人が多かったが、中学に入ると個性豊かな先生たちが居た。 まず一人目。 たぶん、令和の時代には問題になるかもしれないが、...
文字数:約1680文字 それまで一緒だったこたみちゃんとは、隣のクラスになった。 その他の友達とは全く別のクラスになってしまって、接点がなくなった。 そもそも校舎の造りが複雑なので、必然的に階段を挟んだ隣の教室以外とは行き来が難しい。 下手をすると教室の場所さえも分から...
文字数:約1231文字 中学も制服だった。 ブラウスは小学校の物をそのまま使えるが、新しくそろえる人が多かった。 冬はセーラー。夏はブラウスに 紐 ( ひも ) リボンの制服だった。 小学校で使えたズボンの制服は、中学ではなくなった。 真冬は下半身が冷えて死にそうだっ...
文字数:約463文字 子どもの身体は変わっていく。 身長が伸び、体重が増えるだけではなく、体つきが変わっていく。 大人と子供の間の身体になったころ。 お風呂から上がると、母がカメラを構えて飛んできた。 「写真を撮ろう」 一瞬、ポカンとした。まだ、素っ裸にタオル一枚だ...
文字数:約1014文字 親子参観など、親子で何かをする事が多かった小学校時代。 私は大抵、父と組む事になった。 ほっちゃん ( 上の妹 ) は母と、 はーちゃん ( 下の妹 ) は祖母と組む。 その時は、図工でのこぎりを使って、何かを作る事になった。 何を作ったのかは覚...