✞ ☆番外☆ 感電と増水 ✞
文字数:約1604文字 死にかけた経験はいくつかある。 以前書いた交通事故も、一歩間違えばあの世行きである。 これはそれ以外の危なかった話。 小学生高学年のある日。 父の手伝いで電流のチェックをしていた。 場所は父の作業場。なぜかシャッターが動かなくなったため点検を...
文字数:約1604文字 死にかけた経験はいくつかある。 以前書いた交通事故も、一歩間違えばあの世行きである。 これはそれ以外の危なかった話。 小学生高学年のある日。 父の手伝いで電流のチェックをしていた。 場所は父の作業場。なぜかシャッターが動かなくなったため点検を...
文字数:約623文字 小さなころはよく、家族旅行をした。 父の仕事のない真冬に、3泊程度どこかに行く。 私が旅行でどこに行くかを理解したのは、日本地図が頭に描ける様になってからだった。 毎年少しずつ遠くに行っている事を知った。そして、山口県で旅行は終わった。 九州に渡...
文字数:約551文字 友達と遊んだ帰り道。 友達の家を出て、5つの分かれ道に出た。 一つは来た道。 一つは全く知らない場所に行く道。 一つは学校への道。 一つは私の家への道。 一つはおばあちゃんの家に続く道。 選ぶのは、私の家への道が正しい。 正しいはずなのだ...
文字数:約642文字 新しいもの好きの父のせいで、家には早くからパソコンがあり、カラオケの機械もあった。 今のようにインターネットで 繋 ( つな ) がっているわけではなく、レコード盤のようなものを入れて決まった曲をかけるという物だった。 母が歌を好きだった事もあって...
文字数:約833文字 それは小学校最後の日。 私は、臆病なひねくれ者になっていた。 教室に行くと、黒板に絵が描かれて、いろんな飾りつけがされていた。 それまでの教室とは別のように見えた。 ぐるっと見回して、気がついた。 教室の後ろに、クラスメイト全員の似顔絵が飾っ...
文字数:約603文字 お 喋 ( しゃべ ) りは苦手だけれども、歌は好きだった。 けれど、それも小学生までだった。 小学最後の歌の練習の時、先生は「大きく口を開けて歌え」と言った。 私は真面目に大きく口を開けて、歌った。 そうしていると、先生が近くにやってきて私を前...
文字数:約649文字 少ない積雪ならば、先生たちが雪かきを済ませる。 けれど、雪国では大量の雪が降る。雪かきは上級生の仕事として回ってくる。 休憩時間や朝の時間など、なるべく授業ではない時間に雪かきを済ませることが多かった。 休憩時間に雪かきをするのだから、必然的に遊ぶ...
文字数:約821文字 雪の降る頃だった。 学校のベランダに出ていると、雪が舞い落ちてきた。 ベランダに背中を預けて、空を見上げる。 落ちてくる雪が、私を素通りして通り過ぎて行く。 まるで、自分の体が浮かんでいるような感覚に襲われた。 その中で、 『今、この瞬間にこ...
文字数:約912文字 登校班の副班長だったころ。 一つ年下の男の子が、側溝に落ちるという事件があった。 側溝と言っても、幅は1メートルほど深さも2メートルぐらいはあった。 水は流れていなかったが、落ちてただで済むような場所ではなかった。 幸い学校が近かったこともあって...
文字数:約912文字 毎年、虫歯の作品の受賞者は、全校集会でその作文を読む。 いつもは「早く終わらないかな」と思っている集会。 その年は「こんな風に書くと選ばれるんだ」と思いながら聞いていた。 そして、次の年は前年の作文内容を思い出しつつ、自分の作文に取り入れてみた。 ...
文字数:約1166文字 何度も言うが、私はお 喋 ( しゃべ ) りが苦手だ。 授業中に手を上げることもないし、意見を言うこともない。 そんな私が、一度だけ意見を言ってしまったのは、道徳の時間だった。 最初に物語を読んで、いくつかの意見が出てくる。 その中で2つ対立す...
文字数:約759文字 小学校も高学年になるとクラブ活動が始まる。 最初は料理クラブに入った。友達に誘われたからだと思う。 毎回、材料が必要な事が大変だった。 食べられないものや嫌いなものを作る時は困ったけれど、それらは持ち帰って誰かに渡した。 次は手芸クラブに入った...
文字数:約996文字 小学校も学年が上がると、男女を意識し始める。 異性だと机を離したり、フォークダンスで手を 繋 ( つな ) がないなんていうのは、よくある事。 けれども、それ以外の事が起こり始めた。 「臭い」 と、数人に言われ始めた。最初は気にしないようにした。...
文字数:約859 文字 学年が上がって再びクラス替えになった。 以前のように、いじめっ子がいないならどのクラスでも良かった。 今回はこたみちゃんや話せる子達とは、離れる事がなく同じクラスだった。 そして、初めて男の先生が担任になった。 その男の先生は、見た目もだが、教...
文字数:約1139文字 こたみちゃんは誰とでも仲良くなる。それは、男の子でも例外ではない。 その男の子は、学級委員の真面目な子だった。 けれども、こたみちゃんとはふざけ合う。仕掛けるのは大抵こたみちゃん。 私はそれを黙っていつも見ていた。 「あいつって、ほんとジャガイ...
文字数:約1049文字 私はこたみちゃんを通して、いろんな子達と話すようになった。 海ちゃんと風ちゃんは、お勉強もスポーツもできるクラスの人気者だった。 そこになぜか、私が混ざってしまった。 どこをどうして、海ちゃんと風ちゃんと私という組み合わせができたのか、いまでも謎...
文字数:約646文字 父の兄……私にとっての 伯父 ( おじ ) 夫婦が離婚した。 それは唐突な話だった。 断片的な話を繋ぎ合わせると、 伯母 ( おば ) さんが家を出て行ったという事だった。 まだ小学生の子供3人を残して、 伯母 ( おば ) さんは行ってしまった。...
文字数:約680文字 何度も書くが、私は牛乳が嫌いだ。 給食の牛乳は飲まずに持ち帰っていた。 それは学年が上がっても同じだった。 担任はそれについて特に何も言わなかった。 やがて、担任が産休に入って、代理の先生が来た。 この先生は、私が牛乳を飲めない事を問題にした...
文字数:約728文字 それは新学期が始まって、一段落した頃。 変な緊張感も戸惑いも消え去って、クラスに慣れきってしまっていた。 そうなると、ふざけた事をする子も出てくる。 掃除の時間だった。 一人の男子が「魔女っ子○○○」と言いながら、 箒 ( ほうき ) にまたが...
文字数:約963 文字 進級した。お嬢様は居なくなったが、同時にお友達もキレイに消えた。 従姉妹 ( スズメちゃん ) とはクラスが別になった。近所の子達とも別になった。 積極的に話しかけるタイプではない私は、一人で行動することが増えた。 やがて、こたみちゃんと言う友...
文字数:約1350文字 ☆番外☆ もう一つの死 クラスメイトが亡くなってしばらくした頃。 いとこの祖母が亡くなった。 伯母 ( 母の姉 ) の配偶者の母親という、ちょっと遠い関係だった。 従姉妹 ( ホタルちゃん ) たちとはよく会っていたけれども、そのお婆さ...
文字数:約1169文字 ☆番外☆ 動物 従姉妹の家で飼っていた犬が、子犬を産んだ。 父がそれを 貰 ( もら ) ってきた。 ある日、父が犬の散歩に私も引っ張り出した。 私は動物全般が苦手だ。 子犬とはいえ、犬が怖くて走ってしまった。子犬は喜んでついてくる。 ...
文字数:約901文字 2学年の最後に文集を作る事になった。 皆がそれぞれに好きな事を書いた。 最後の日が近づくと、お嬢様の引っ越しが担任から発表された。 誰もがホッとしたと思う。 次の学年はクラス替えがあるとはいえ、この学校にお嬢様がいる限り同じクラスになる可能性は...
文字数:約998字 少し長めの休み時間は校庭に出ることが決まりだった。 校庭に出たからと言って、何かをするわけではない。 かと言って、壁の花になっていようものなら「もっと遊んできなさい」と先生に追い立てられる。 休み時間なのに、休んでいてはいけないその時間を持て余して...
文字数:約717文字 クラスメイトが死んだのは、連休明けだったと思う。 その日、先生が暗い顔で教室に入ってきた。 いつもは明るい顔……とは言えないが、その日はいつも以上に、重苦しい空気をまとっていた。 いつものようにうるさい生徒を怒鳴りつけて、何とか静かになった教室の中...
文字数:約1205文字 学校までの道のりは長かった。 まずは私の家の前で、一旦数人が集合。その後に、また別の家の前で数人が集合するのを待っていた。 家の前ならば、呼びに来てくれるまで家に居ることも出来た。 けれども、もう一つの集合場所では、待つしかない。 しばらくは大...
文字数:約1592文字 お嬢様のいじめは大抵、『物』に向かうことが多かった。 物を欲しがって、取ったり壊したり。取ったり壊したりは筆箱や鉛筆消しゴムなどが多かった。 隠したりごみ箱に捨てられたりするのは、教科書やノートだ。 暴言は当たり前。「チビ」「グズ」「のろま」「s...
文字数:約1830文字 いじめから身を守るために出来ることは、三つ。 一つは、お嬢様に気に入られないようにすること。 お嬢様が気に入るのは、大人しくて優しそうな子とお 喋 ( しゃべ ) りが得意で面白い子。 スズメちゃんは後者だった。 二つめは、目立たないようにす...
文字数:約976文字 日々、誰かがいじめのターゲットになる中で、スズメちゃんがお嬢様の取り巻きになった。 社交的なスズメちゃんは、お嬢様に気に入られた。 取り巻きの半分は面白半分、半分は嫌々という感じだ。 断るといじめのターゲットになるのだから、大人しくお嬢様の傍に居る方...
文字数:約726文字 授業にならない日々が続き、おそらく学年でも話題になるほどの問題となっていたと思う。 ある日、朝から学年主任がやってきた。 「しばらく、担任を交代します」 と大ベテランの先生は言った。 そして本当にその日一日、大ベテラン先生が担任をした。 男子たちが...
文字数:約832文字 3組担任の新卒女先生は完全に、甘く見られていた。 生徒がうるさくて授業にならない事の方が多くなった。 やがて、隣のクラスの男先生が怒鳴りこんでくるようになった。 「うるさい!!」 その一言でシーンと教室が静まり返る。 「お前らのクラスだけだぞ。こんな...